“ショーン・ホワイトに勝った”  平野・平岡のメダル獲得、海外メディアはどう報じたか?

 ソチで開催中の冬期オリンピックで11日、男子ハーフパイプの予選、準決勝、決勝が行われた。

 アメリカのショーン・ホワイト(27)が大会3連覇をかけて臨んだ戦いが注目されていたが、4位に終わり、表彰台を逃した。

 金メダルに輝いたのは、スイスのイウーリ・ポドラチコフ(25)だった。同選手は予選で振わなかったものの、決勝で難易度の高い技を決めて勝利した。

 銀メダルは、日本史上最年少となる平野歩夢(15)が獲得し、銅メダルに同じく日本の平岡卓(18)が続いた。

【勝者よりも”王者陥落”が最大のニュース】
 米メディアは表彰台に上がった3人よりも、絶対王者と見られたショーン・ホワイトがメダルすら逃したことを大きく伝えている。

 アメリカ男子史上初の3大会連続金メダルを狙っていたホワイトは、プレッシャーの重圧もあってか、予選からうまくリズムを掴めず、決勝でも勢いを取り戻せなかった、とCBSスポーツは分析した。決勝1回目のランは、着地の失敗から失速し12人中11位という順位。表彰台すら危ぶまれる事態に追い込まれ、2回目のランにいくつかの大技を繰り出すも着地がうまくいかず、逆転はならなかった。

 また同メディアは、もうひとつの原因を「コンディションの悪いコース」と指摘している。アメリカ勢の不振はホワイトだけではない。準決勝を勝ち抜いたグレッグ・ブレッツ、直接決勝進出を決めたダニー・デービスも、悪評続きのコースに苦戦した。デービスは前日、Yahoo!スポーツに「ソチのハーフパイプコースはゴミだ」と語っていたとのことである。

 結果、この競技でアメリカ勢はメダル全滅となってしまった。オリンピックのハーフパイプでは史上初である。さらにホワイトにとって悪いことに、先日行われた大会初開催のスロープスタイルを「ハーフパイプ3連覇のため」棄権していたことが、今回の敗北をより強く印象づけてしまった、とCBSスポーツは分析する。

 こうなると今後の動向が気になるところだが、米スポーツ専門サイト「ブリーチャー・レポート」によると、ホワイトはこう語っているそうだ。

「僕がもう終わりみたいな噂があるけど、コーチと僕はもう次のオリンピックに向けてわくわくしているんだ。だからまだやめないよ」

【期待される日本の10代 しかしメディア露出はまだまだ?】
 平野歩夢、平岡卓両選手のメダル獲得は、今競技日本人初のメダル、かつ今大会でも日本初のメダルである。さらに、15歳2ヶ月の平野は、冬季五輪での日本史上最年少メダリストである。

 しかし海外メディアは、ホワイト敗北を派手に取り上げる一方、日本のふたりが大躍進したことは、残念ながらあまり大きく伝えていない。CBSスポーツは両選手の活躍を「ショーン・ホワイトを3大会ぶりに表彰台から閉め出した」と評し、ブリーチャー・レポートも「表彰台というとてつもなく高い山に見事登った」と賞賛はしたが、あとはどちらも点数と順位を2〜3行程度で伝えるにとどまった。

 11日午後時点で日本のメダル獲得数はゼロだった。そこにウォール・ストリート・ジャーナル紙は「今夜10代の選手によって日本に最初のメダルがもたらされるだろう」と予想していた。しかしそれは女子スキージャンプの髙梨沙羅(17)のことだった。残念ながら高梨はメダルを逃したが、同紙の予想は平野・平岡ふたりの「別の10代」の活躍のおかげで的中することとなった。

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Text by NewSphere 編集部