「日本料理×ペルー料理」がスペインで人気 その魅力とは

【世界のカリスマシェフが新店オープン】
 世界一予約困難なレストラン「エル・ブジ」のシェフとして名を馳せたアドリア兄弟が、日本料理とペルー料理のフュージョン・レストラン「PAKTA」をバルセロナにオープンした。こうした「モダンペルー料理」が脚光を浴びている。

【そもそもコンセプトは?】
 開店にあたり、スペインメディアに対して、同兄弟は、食文化が混在したペルー料理への感動が原点と述べた。もともとペルーは多様な移民の交流で知られる。日本人は1898年に初めて同国に移住しており、日本の食文化も長く現地に根づいている。

 同店のコンセプトはその両国の食文化の融合である。店名のPAKTAは「連携、協定」を意味する。この名のとおり、「NIKKEIキュイジーヌ」というテーマの下、従来のペルー料理に日本の食文化を取り入れ、さらに洗練させるねらいである。

【PAKTAでの、具体的な「フュージョン」とは?】
 まずトップシェフを務めるのは国籍の異なる3人である。1人はアドリア兄弟の弟でスペイン人、もう1人のシェフはペルー出身、さらに日本人の女性シェフである。

 またインテリアについても、ニューヨークタイムズ紙によれば、ペルーの伝統的な糸細工で明るく彩る反面、日本のイメージで木材を多く使い、シンプルな内装である。さらに、フォークやナイフの他、富士山のマーク入りの箸が並び、招き猫、醤油差し、わっぱの器なども客席を飾る。

 料理については、「もはや伝統的な日本料理でもペルー料理でもない」という評価が、現時点では良くも悪しくも多い。例えば、握り鮨に泡や様々なトッピングを乗せたり、ペルーの代表的メニュー「セビーチェ」に、地元では本来使わない素材をあれこれ加えたり、といった具合である。

 ただしオーナーシェフのアドリア兄弟は、取材に対し、「これこそがエル・ブジの本髄」と胸を張っている。

【日本でも流行のきざし】
 国内でも「ペルービアン」という表現で、こういったモダンペルー料理店のオープンが相次いでいる。

 一方、ペルーの新聞では、現地のペルー料理シェフコンテストにおいて、昨年は東京のペルー料理店日本人シェフが受賞したことを報じた。

 このようにペルー料理は、移民の歴史を経て日本料理と融合した新スタイルになり、かつ日本人シェフの活躍とも相まって、今後ブームを迎えそうである。

Text by NewSphere 編集部