誰でも作れる?「DIY宇宙服」発明 宇宙旅行に1歩近づく

 日本の新型ロケット「イプシロン」の打ち上げが成功した9月14日、デンマークの宇宙開発団体「コペンハーゲン・サブオービタルズ」が、地元の金物店で購入した材料で「DIY宇宙服」を製作したと発表した。アメリカ航空宇宙局(NASA)の1200万ドル(約12億円)もする同等品より、かなり安く製作できたようだ。

 低予算の「自家製」宇宙服は、宇宙飛行の可能性を広げることになるのだろうか?

【日用品で作った宇宙服】
 この宇宙服は、熱シールドされたコルクタイルや家庭用の配管を利用したという。製作したピーター・マドセン氏は、金物店で購入した材料について、「僕たちの宇宙服を作るという目的のために、この材料は(NASAで使われるような)特殊で高価な材料に引けをとらない」、と説明している。

 さらに、製品試験も斬新な手法で行なわれたようだ。例えば、宇宙空間と同じ低圧力の環境を得るため、コペンハーゲンの病院長を説得し、病院の高圧室を利用した。また、重力への耐久試験では、テーマパークの乗り物を1日貸し切って試したという。

【宇宙船を作りたい!2人の男の挑戦】
 マドセン氏は、1981年にスペースシャトル「コロンビア」が初めて宇宙へ向かった時に10歳だったが、TVで流れる宇宙船の映像に夢中になったという。

 彼はまず、ロケットに最も似ていると考えた潜水艦の製作を始め、2008年には、わずか12.5万ポンド(約2000万円)で40トンの潜水艦を完成させ、有名になった。この時、次はロケットを作りたいと語っていた。

「コペンハーゲン・サブオービタルズ」は、マドセン氏と、航空宇宙専門家のカースティン・ フォン・ ベングストン氏が中心だ。ベングストン氏は、2010年まで続けられたNASAの有人宇宙機計画に参加したが「すべての決定が、役員たちや委員会に伺いを立てなければならず、僕が考えていたよりずっと官僚主義的で政治的なものだったよ。」と語り、国による宇宙船開発に幻滅していた。

 ふたりはコーヒーショップで出会い、すぐに意気投合。彼らは既に、無人ロケットの発射事件に成功している。現在は、有人飛行の試験中だ。

 マドセン氏は、「宇宙に行く前から、あれこれと周りが騒いで、毎日が騒々しい。でも宇宙への飛行は、そんな騒音とは関係のない格別なものだろうな」と、現実に近づいている低予算の有人宇宙飛行に期待を膨らませているようだ。

Text by NewSphere 編集部