「なんでこんなに美味しいの?」 海外で高まる日本産ウイスキー人気

「メイク・イット・サントリー・タイム(サントリーの時間にしましょう)」

 2003年公開の映画「ロスト・イン・トランスレーション」において、ビル・マーレイ扮するハリウッド・スターがサントリーウイスキーのテレビCMに出演するシーンで、ウイスキー片手にこの台詞を連呼するシーンを覚えているでしょうか。

 この映画が火付け役となったか否かは定かではありませんが、近年、海外で日本製ウイスキーの人気が高まっています。

【世界で権威のある賞を受賞】
 販売用の生産が開始されたのは1924年と海外に比べ比較的歴史が浅く、一時は粗悪品の影響で海外の批評家から「ウイスキーではない」と酷評された日本産ウイスキー。

 しかしその後の絶え間ない品質向上の努力の結果、徐々に評価を回復。近年では、海外での賞を受賞するようになり、2012年には、世界で最も権威のあるポットスティルのワールド・ウイスキー・アワードで、サントリーの山崎25年が世界最高のシングル・モルト・ウイスキーに、ニッカの竹鶴が世界最高のブレンデッド・モルト・ウイスキーに選ばれるなど、ウイスキーの本場、スコットランド産を凌ぐ高い評価を受けています。

 そんななか、複数のアメリカメディアが日本製ウイスキーの人気について報じています。

【繊細な味が人気の秘訣】
 ABCニュース・ラジオは、「日本製ウイスキーを置く店が全米各地で増加している」、「多くのバーテンダーがカクテルの材料として重宝している」とし、まだまだ知名度が高いとはいえないものの、今後さらに販売を拡大すると予測。

 また、日本産ウイスキーの特徴はその繊細さにあるとし、「多くのアメリカのウイスキーは強力な香りを持っている。それはライ麦と焦げた樽の香りなんだけど、水を加えると台無しになってしまう。それに対して日本のウイスキーは水が加えられることを念頭に作られていて、水を加えるとそれらの香りが素晴らしく組み合わさってあふれてくるんだ」とのバー経営者の声を伝えています。

 ハフィントン・ポストでは、その「違い」の理由が水にあると指摘。また、飲酒習慣の違いを挙げ、食事をしながら飲酒する日本では、ウイスキーが食事を引き立てるように作られているため、「軽さ」、「飲みやすさ」を実現していると分析しています。

 海外で誕生したウイスキー。逆輸出とも言える日本産のウイスキーが海外でどういった展開を見せるのか、今後に期待です。映画の台詞のように、現実に、「メイク・イット・ジャパニーズ・ウイスキー・タイム」といくでしょうか。

Text by NewSphere 編集部