日本のビッグマックは高い?安い? ハンバーガーで考える世界経済

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◆ビッグマック指数の応用版も登場
 ビッグマック指数をより経済の実態に近づけるため、新たな分析方法も登場している。エコノミスト誌は1986年から発表している通貨価値の指標「ビッグマック指数」を応用し、各国の賃金購買力を比較する新たな分析手法「マックウェイジ(MacWage)」を考案した。
 
 手法は単純明快だ。経済協力開発機構(OECD)のフルタイム労働者の税引き前所得を、各国のビッグマック価格で割り、年間に購入可能なビッグマック個数を算出する。たとえばアメリカ人労働者は、年間でビッグマック約1万4000個分の賃金を得ていることがわかる。この基準では、アメリカ、スイス、デンマークの順に実質的に高い賃金を得ていることとなり、日本は35ヶ国中10位となった。

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 ただし、分析には限界もある。たとえばデンマークの場合、所得税率が50%を超えることがあるため、実際の購買力は指数で示される水準を大きく下回る。また、住宅費や交通費など、生活費全般の物価水準の違いも反映されない。特に途上国では、住宅費が比較的安価である一方でアメリカ流のファストフードは高額なため、実際の購買力が過小評価される傾向にある。
 
 しかし同誌は、「世界の所得水準を比較する簡便な方法として、マックウェイジは一般にも理解しやすい指標である」との見方を示している。

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Text by 青葉やまと