米、日本などに12.5%追加関税案 強制労働製品への対応不十分と判断

米通商代表部(USTR)のジェイミソン・グリア代表|Aurelien Morissard / AP Photo

 トランプ政権は、強制労働によって生産された疑いのある物品の輸入を巡る調査を踏まえ、主要な貿易相手国・地域の数十カ所からの輸入品に10%以上の追加関税を課すことを提案している。

 米通商代表部(USTR)が3日未明に公表した報告書によると、カナダ、メキシコ、台湾、イギリスなどの国・地域は、強制労働による製品の輸入禁止措置を十分に執行していないとして、10%の追加関税の対象となる。

 中国、日本、インド、韓国、ブラジル、スイスなど数十カ国には、12.5%の追加関税が課される見通しだ。

 USTRのジェイミソン・グリア代表は声明で、「主要な貿易相手国が強制労働によって生産された物品の輸入問題に十分対処していないことは容認できない。こうした状況は、アメリカの労働者を不利な競争条件の下で世界市場で競争させることになる」と述べた。

 さらに、「各貿易相手国は、国際貿易が結果として世界的な強制労働を助長し、固定化することのないよう、一層の取り組みを進めなければならない」と付け加えた。

 USTRは、このような輸入を防止しないことは「不合理であり、アメリカの通商を阻害または制約するものだ」としている。

 今回の追加関税措置は、ドナルド・トランプ大統領が昨年初めに政権へ復帰して以降、相次ぐ関税措置の影響を受けてきた主要な貿易相手国・地域を動揺させる可能性が高い。

 わずか2週間前には、欧州連合(EU)が、加盟27カ国による激しい議論や欧州議会議員らによる反対の動きを経て、大半のEU製品への関税を15%に抑えるアメリカとの関税合意を承認したばかりだった。

 トランプ氏は最近、中国訪問から帰国した。現地では習近平国家主席と会談し、中国市場におけるアメリカ企業の参入拡大や、中国によるアメリカ産業への投資拡大について協議した。両首脳は貿易と投資に関するそれぞれ独立した委員会を設置することで合意したが、詳細はほとんど明らかにされていない。

 新たな関税は直ちに発効するわけではない。今後、意見公募(パブリックコメント)と審査の対象となる。公聴会は7月7日に始まる予定だ。

 強制労働によって生産された疑いのある物品の輸入防止措置が適切に執行されていない問題に関する調査は、1974年通商法301条に基づいて実施された。この手法によって、トランプ氏は最高裁判所が示した関税権限の制約を回避できる可能性がある。

 調査では、対象となった60カ国が、強制労働によって生産された物品の輸入禁止措置を十分に執行していなかったことが判明した。

 報告書は強制労働について、「労働やサービスの不履行に対する何らかの処罰の脅威の下で人に強制され、かつ本人が自発的に提供していない労働またはサービス」と定義している。

 また、国連の国際労働機関(ILO)の推計として、2021年時点で2760万人が強制労働に従事していたと指摘した。

 ミャンマー産のコメ、マラウイ産のタバコ、ブラジル産の牛肉、中国産の綿花やポリシリコンなどが、強制労働に関連するリスクが高い製品の例として挙げられた。

 アメリカ政府はこれまでも、中国西部の新疆ウイグル自治区産の原材料を含む製品には強制労働が用いられているリスクがあると主張してきた。中国政府は、イスラム教徒が多数を占める同地域での強制労働疑惑を否定している。

 最高裁判所は2月、トランプ氏が別の法律である1977年の国際緊急経済権限法(IEEPA)を用いて広範な関税を貿易相手国に課したことについて、権限を逸脱していたとの判断を示した。

 トランプ政権は、これまでの関税措置で関税を支払った企業に還付を受ける資格を認めた連邦地裁判事の命令について、上訴する方針を示している。

 今週初めには別件として、ブラジルが「不合理」であり、「アメリカの通商を阻害または制約する」貿易慣行を行っているとして、同国からの輸入品に25%の関税を課すことを提案した。ブラジルは世界第10位の経済大国とされる。

 USTRは調査の結果、ブラジルでは汚職防止法の執行が不十分であるほか、同国独自の不公正な関税制度が存在することなどが判明したとしている。

 USTRは約100ページに及ぶ報告書の中で、たとえ国内で強制労働禁止措置を執行していたとしても、強制労働によって生産された物品を輸入することは公正な貿易の原則に反すると指摘した。

 その一方で、一部の繊維製品やトマト、バナナ、コーヒー、一部の金属製品については、追加関税の適用除外、またはより低い税率の対象になるとしている。

Text by AP