「日本化」する中国 バブル崩壊を彷彿
◆民間は守りに入った? 高齢化、米中摩擦も心配の種
中国人民銀行(中央銀行)は6月に利下げを実施し消費を喚起しようとしたが、企業や家計には借り入れに消極的な兆候が見られるという。景気後退局面で民間が債務の圧縮を優先すると、全体として景気を悪くしてしまうという「バランスシート不況」が起こっているのではないかと、野村総合研究所のリチャード・クー氏は指摘している(ブルームバーグ)。
インサイダー誌は、日本同様、高齢化も大きな懸念材料だとしている。2019年の中国の高齢化率は12.6%で、1991年の日本の12.7%に匹敵する。高齢化が急速に進んでいることから考えれば、実際には中国の人口動態はもっと悪いと指摘。さらに2022年の中国の1人当たりのGDPは1991年の日本よりはるかに低いことに着目し、豊かになる前に高齢化が進んで負債が増加する可能性があると指摘している。
FTは、日本が1980年代に経験した日米貿易摩擦との類似性にも触れ、米中対立によって中国の経済成長が妨げられるリスクを示唆している。
◆伸びしろはあるが……現政権下では対応困難か?
「日本化」を懸念する声に対し、都市化率が比較的低い中国では、まだ生産性向上や住宅需要拡大の可能性があるという意見もある。また、国内市場が大きいこと、STEM系の人材が豊富なこと、製造業が堅調なことなども中国にとって有利に働くとみられている。
しかし、オックスフォード大学中国センターのジョージ・マグナス氏は、中国が豊かになるにつれ、成長の可能性は低下していると指摘。政府が望むスマートで生産性の高い成長を実現するには、変化や改革に対応する能力が必須だとする。長期的に成長鈍化を避ける唯一の方法は、大幅な構造改革を受け入れ、市場原理がより大きな役割を果たすように国家が一歩退くことだと説明。国家部門をより大きく強くすることに重点を置く習近平体制では難しく、日本の失敗を繰り返すだけになるとしている。(SCMP)
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