ボルドーのブドウを根こそぎにしなければならない理由 フランスワインの危機
◆最初に打撃を受けたボルドー地方
ワイン産地の一つ南西部のボルドーにはブドウ園が11万ヘクタールあり、製造ワインの85%が赤ワインだ。そのため、ボルドーは最初に余剰ワイン問題の打撃を被ることになった。
ボルドーワイン業者委員会のファルジュ副会長の見積もりによれば、ボルドーにある約5000のワイナリーのうち、700~1200社が苦境に陥っており、300社が閉業を希望しているという(20minutes紙)。ロシアのウクライナ攻撃などを背景に現在進行形で進むインフレも影響している。
◆ワインを蒸留し、ブドウの木を抜く
このワイン生産者の窮状を打開するため、フェノー農業・食料主権大臣は2月6日、1億6000万ユーロのワイン蒸留キャンペーンを発表した。これは余剰ワインを蒸留して、バイオエタノールや、香水に使うアルコールに変化させるというものだ。パンデミックが理由で世界中のバーやレストランが閉鎖された時にも、同様のキャンペーンが行われ、蒸留されたフランスワインはアルコールジェルの原料に用いられた。(農業情報サイト・プランシャン、2/7)
だが、ワイン業者らは、ワイン蒸留キャンペーンだけでは不十分だと考え、ブドウの木の根こそぎキャンペーンへの国の援助を求めて運動してきた。手入されなくなったブドウの木は、フラヴサンス・ドレ病蔓延の原因になりかねないためだ。これを受け、フェノー大臣は3月1日、ブドウの木を抜くために数千万ユーロの援助を行うと発表した。(20minutes紙、3/1)
ファルジュ副会長によれば、11万ヘクタールのボルドーのブドウ園のうち、20~30%を根こそぎにするべきだという意見もあるという。だが、そこまで思い切るのは容易ではないため、ファルジュ氏はとりあえず10%にあたる約1万ヘクタールを対象にしたいと考えている。(20minutes紙、2/21)