EUのCO2排出ゼロに向けた取り組みは成功するか ガソリン車を35年までに禁止

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◆「フィット・フォー・55」政策とは
 今回承認された法案は、EUが掲げる環境政策「フィット・フォー・55(Fit for 55)」の柱の一つだ。これは、EUの政策が理事会と欧州議会によって合意された気候目標に沿うように、EU域内の法律を改訂・更新し、新たな取り組みを導入するための一連の提案。EUでは2019年以来、一連の環境政策(グリーン・ディール)が議論されてきたが、2021年7月に、フィット・フォー・55が提案された。この名前の意味は、2030年までに温室効果ガスのネット排出量を少なくとも55%削減するというEUの目標を指す。

 フィット・フォー・55の提案内容は、内燃エンジン車の二酸化炭素排出を削減する以外にも、再生可能エネルギーへの移行、メタンガス排出の削減、土地利用・土地利用変化および林業(land use, land use change and forestry:LULUCF)分野における二酸化炭素吸収などを含む13の分野にわたる。なかでも今回の内燃エンジン車廃止への動きは、EUの環境政策の進展を印象づけるものとなった。

Text by MAKI NAKATA