EUのCO2排出ゼロに向けた取り組みは成功するか ガソリン車を35年までに禁止
欧州連合(EU)欧州議会は14日、2035年に域内でガソリン車やディーゼル車の新車販売を事実上禁止する法案を採択した。その詳細とは。
◆対象は内燃エンジン搭載の新車
欧州議会における投票の結果は、賛成340票、反対279票、棄権21票という結果だった。必ずしも賛成大多数というわけではないが、2021年6月に欧州委員会にて提案され、昨年6月に欧州評議会にて合意形成に至った法案が、欧州議会で承認された。法案は、追って公式に欧州評議会によって承認される必要がある。
欧州議会ウェブサイト上の解説によると、法案発行により、2035 年以降、市場に出回るすべての新車は、二酸化酸素排出ゼロでなくてはならない。一方、この法案は既存のガソリン車・ディーゼル車には適応されないため、2035年以降もユーザーは二酸化炭素排出車を使用し続けることができる。車の平均寿命が15年であることから、2050年の二酸化炭素ニュートラルの目標実現のために、内燃エンジン車の新車販売禁止を2035年にスタートさせる必要があるというのが欧州議会の説明だ。
内燃エンジン車の代替としては、今後の価格低下が見込まれる電気自動車への移行が期待されている。電気以外の選択としては、水素エンジンや合成燃料(e-fuel)などがあるが、これらの選択肢は電気自動車よりも多くの電力を必要とする。欧州議会は、本法案採択によって、電気自動車市場の競争が促進され、電気自動車が低価格化・普及することを見込んでいる。現状、EUの新車販売における電気自動車の割合は12%程度。電気自動車の中古市場が未熟であるという課題もあり、電気自動車の普及は限定的だ。
賛成派は、電気自動車市場における国際的競争力の強化や、温室効果ガス排出ネットゼロに向けた取り組み促進を主張する一方、反対派は、移行は時期尚早であるとし、内燃エンジン車製造の大々的な削減は大量解雇につながると懸念を示す。法案適応外の内燃エンジン車中古市場への移行も予測される。
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