フランス、急成長する「量り売り」市場 自然食品店から大手スーパーへ拡大
◆パンデミックが成長に歯止め
ただしこの傾向も新型コロナウイルスによるパンデミックの打撃を受けた。実際に店に足を運ぶことなく配達サービスなどを利用する消費者が増えたからだ。上昇傾向にあったオーガニック製品市場も、2021年には売り上げが初めて減少した。量り売り専門店に関しても、81%の店舗で2021年5月~11月の売り上げが前年同期比20%減となり、約30店舗が同年閉業を選択した(フィガロ紙)。
◆「気候と回復力に関する法律」制定
とはいえ、フランスにおける量り売りはまだまだ成長が見込まれる販売形態だ。フランス政府も、量り売りを「廃棄物ゼロ」への足がかりと見ており、2021年8月に制定した「気候と回復力に関する法律」内で、2030年までに表面積400平方メートル以上の店舗は、販売エリアの表面積の少なくとも20%を、量り売りを含む一次包装のない商品の販売にあてなくてはならないと定めている。
実際、筆者の周りでも、既存スーパーでの量り売りコーナーが縮小された様子は見られない。大手スーパーチェーンのモノプリは2021年に、量り売りで提供する商品数を前年より約70品目多い370品目以上に広げた(フィガロ紙)。
◆発展が見込まれるそのほかの理由
最近ではダノンやイヴ・ロシェ、カルト・ノワール、ベビベルなどの大手メーカーも、独自に量り売り用製品の提供を始めている。さらに、大手小売りチェーンのシステム・ユーでは、2021年9月から封筒やペンなどの文房具についても、消費者が必要とする量だけ購入できる試みを始めた。(シテオ)
しかも、昨今の激しいインフレを受け、消費者には買い控えの意識が高まっており、より無駄なく安く買える方法として量り売りを選択する人が再び増加する可能性がある。
衛生管理、在庫方法、アレルゲンとなる製品との接触、汚損や取りこぼしなどによる無駄、盗みのリスクなど、量り売り独自の問題は常に残るが、量り売りはフランスでは今後も発展が見込まれる販売分野だ。2019年に12億ユーロだった量り売りの市場規模が、2022年には32億ユーロに達すると予測されている(アルティザン・グルマン)。
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