フランス、急成長する「量り売り」市場 自然食品店から大手スーパーへ拡大

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 エコロジー意識の向上とともに、日本ではバルクショップ(量り売り専門店)が増えつつある。フランスでも同様の傾向が見られたが、パンデミックの影響でこの2年ほどは落ち込み気味だ。フランスの量り売り市場の変遷と、同国ならではの今後の見通しをお伝えする。

◆2015年ごろからオーガニック店で広がる
 フランスでの量り売りは、主にオーガニック製品を扱う店から始まったと言われる。同国でのオーガニック製品市場は過去20年ほどで大きく成長したが、特に2015年から2020年にかけての成長は目覚ましく、2020年には126億7000万ユーロ(約1.8兆円)を超える総売上高を記録した(スタティスタ)。

 オーガニック製品を購入する消費者はもともと健康や環境への意識が高く、量り売りの利用にも比較的抵抗がなかったと考えられる。量り売りでは個包装がなくごみを減らせるからだ。また、消費者側から見れば、必要な量だけ買えるため無駄がないこと、また多くの場合、個別のパッケージ詰め商品よりも安価であることも魅力となった。

◆量り売り専門店も急増
 オーガニック製品市場の成長を受け、通常のスーパーもオーガニック製品売り場を設け、さらにその売り場面積が年々大きくなる傾向が続いた。スーパーのオーガニック製品売り場にも量り売りコーナーが設けられた。

 フランスではもともと、どこの商店でも野菜や果物は基本的に量り売りであるため、オーガニック製品のセルフ量り売りも特に驚きなく受け入れられたようだ。ちなみに、オーガニック製品売り場で展開された新たな量り売り商品は食品が主で、豆などの乾物、米などの穀類、パスタ、ドライフルーツ、ナッツ、ビスケットなどだった。

 また同時期には量り売り専門店も増加し、2015年には全国で15店程度だったのが、2022年2月には920店を数えるまでに至っている(フィガロ紙)。

Text by 冠ゆき