無形遺産になったフランスパンが危機 跳ね上がる光熱費、閉店するパン屋も

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 昨年12月、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されたばかりのフランスのバゲット文化だが、昨今のエネルギー危機により危機にさらされている。多くのパン屋がエネルギー代高騰のあおりで閉店を余儀なくされているからだ。

◆食卓に欠かせないバゲット
 フランスのパンと言えばバゲットだ。同国で最も多く食されているパンで、一年に焼かれる数は60億本以上。フランスでは約1200万人が毎日パン屋の扉を開いており、長いバゲットを片手に道を歩くフランス人の姿は珍しくない。昨年11月30日には、このバケットを作る職人の技と文化が、ユネスコの無形文化遺産に登録された。

◆エネルギー費高騰のあおり
 だが、そのバゲットを作るパン屋の多くが、このところ事業継続が不可能になるほどの苦境に陥っている。第一の理由は、エネルギー危機による電気代の高騰だ。

 パリ北方のオワーズ県のパン屋のジュリアン・ペデュセルは12月、1万2882.58ユーロ(約182万円)という電気代の請求書を受け取った。前回の1000ユーロ(約14万円)から約13倍値上がりしたことになる。ペデュセル氏は、光熱費にこれだけかかっていては、従業員の給料も仕入れ先への支払いもできないと訴える。(Cnews、1/2)

Text by 冠ゆき