日本人は戻ってくるのか? 期待するハワイに良いニュースと悪いニュース
◆癒しが新コンセプト 深い日本人のハワイ愛
もっとも、最近になってハワイを訪れる日本人は増えている。エイチ・アイ・エス(HIS)が発表した2022年の夏休み旅行予約動向では、海外旅行の予約者数ではハワイがトップとなり、同社を通じて予約した人の2割を占めた。繁忙期の旅先としての人気は不動だとしている。
東京大学の矢口祐人教授によれば、戦後許されなかった海外旅行が解禁された1964年以来、ハワイは日本人の人気の旅行先になった。19世紀にたくさんの日本人移民が渡ったことで認知度が高く、日本語のわかる人が多いことが寄与したと同氏は見ている。(CNN)
1980年代になると経済成長とともに円の価値も上がり、バブル絶頂期の1990年代にかけてハワイ旅行はお手軽なものとなった。矢口氏は、当時のハワイは日本人にとってビーチと買い物の天国だったが、現在はむしろ自由やくつろぎの感覚を含んだ「癒し」の場という位置づけだと言う。国内でもダンス、ウクレレなどのハワイをテーマにしたイベントは盛況で、多様性に富むハワイアン・フードやアロハシャツの店も人気だ。それらは日本人のハワイ文化への関心の高さを示し、長く続くハワイ愛は、単なるビーチリゾートへのそれを超えたものだとCNNは指摘している。
◆コロナ規制緩和で期待高まる 気がかりは円安
見込まれる日本人旅行者の増加に対応し、全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)は夏休み前にハワイ線の拡充を発表。海外の航空会社も次々と日本-ハワイ間のフライトの再開・新設に乗り出している。これまで日本帰国前72時間以内のPCR検査による陰性証明取得が海外渡航の障害となってきたが、ワクチン3回接種を条件に9月7日からそれが免除されることから、ハワイ旅行の追い風になりそうだ。
ハワイ在住のエコノミスト、カール・ボンハム氏は、日本のコロナ規制緩和を非常に良いニュースだとしながらも、予測した数の日本人観光客がやってくるかはまだわからないと述べる。このところの世界経済の不安定さと円安が押し戻し効果となる可能性があり、ハワイ旅行は日本人にとってこれまでよりかなりの出費を要するものになるとした。(ハワイ・ニュース・ナウ)
ハワイ・パブリック・ラジオによれば、12月に50周年を迎えるホノルルマラソンは日本人の参加を心待ちにしているという。2019年には参加した3万3255人のうち半数は日本人だった。日本人の参加や日本企業からのスポンサー料なしでは、運営は非常に厳しくなるということだ。
現在のハワイ便の予約の大多数はビジネスやプレミアム・エコノミーの利用だという。航空・旅行アナリストの鳥海高太朗氏は、現在ハワイに行きたい人はほとんどが円安を気にしない裕福な層で、若い人々が気楽に行くというのは現状無理ではないかとしている。(CNN)
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