世界のオリーブオイルの約5割を生産するスペインで、今夏の猛烈な熱波と降雨不足の影響を受け、オリーブの収穫が危ぶまれている。同国の農業漁業食料省プラナス大臣は「数週間内に気温が和らぐか雨が降るかしなければ、収穫量はこれまでをさらに下回る可能性がある」と懸念を示した（ブルームバーグ、8/2）。

◆1200年で最悪の干ばつ
　同国の一大生産地南部アンダルシア地方は、過去1200年で最悪の干ばつに見舞われている。同地域の若手オリーブ農家組合ASAJAによると、2022-23年度の収穫量は推定100万トンで、当局が発表した前年度の収穫量148万トンより下回る予想だ。（ロイター、8/3）

　アンダルシア地方ではかつて年800ミリの降水量があったとされるが、今年は春に雨が降らずその半分にも満たない予想だ。同地方のオリーブ生産組合によると、同地域では灌漑設備を導入しているオリーブ農地は10ヘクタールあたり3ヘクタールと少ない。灌漑設備のない農地では、過去5年間の平均収穫量より20%減産が予想されている。一方、灌漑設備のある農地でも、貯水池の深刻な水不足の影響で、オリーブの実が完熟せず、オリーブの収穫を早めることも検討されている。その場合、収穫量は確保できるが、オリーブオイルの品質が低下する可能性が高い。このまま気温が上昇すれば、アンダルシア地方の灌漑設備のないオリーブ栽培地の約80%が栽培に適さない土地になる可能性がある。（ユーロニュース、7/28）