ロシアGDP、15年前に逆戻り 急速なインフレ、パニック買い…市民も混乱
◆通貨暴落 パニック買い進行
通貨ルーブルも1ドル74ルーブル程度だったのが120ルーブルとなる大暴落を記録。現在やや持ち直したものの市民の生活に混乱をもたらしている。制裁は一般のロシア人の生活にも波及するよう意図されており、日用品の価格を押し上げる一方で、外国製品へのアクセスを奪う。さらにはプーチン政権が銀行に引き出し制限を設け国外への資金流出を止めようとしているため、市民は貯蓄さえも奪われた形だ。(ボストン・グローブ紙、以下BG)
食糧供給の混乱を受けて生活必需品を買うために長蛇の列ができている。3月12日から18日の統計では、砂糖の価格は13.8%、一部地域では24~37%も上昇した。砂糖は長期保存が可能な定番食品で、多くの家庭がジャム作りなどに利用し需要が高い。買い占めが横行し、ロシア政府は砂糖の輸出を禁止した。(BG)
ロシアの家庭でよく使われる玉ねぎの価格も平均13.7%上昇した。食品を中心に、とにかくなくなる前に、通貨の価値がさらに失われる前に買っておこうという消費者心理からパニック買いとなっており、まるで1990年代の再来だという声も聞かれる。(加グローバルニュース)
タフツ大学フレッチャー・スクールのクリス・ミラー氏は、実は消費財の大きな不足は予想されないとBGに話している。モスクワでは、値段は高いが砂糖を含め食料品が揃っている店もある。結局不確実性が高く、この先何が起こるか誰にもわからないため、人々は買い溜め、買い占めに走っていると見られる。
◆デフォルト危機迫る どうなる次の支払い?
ロシアの信用格付けも過去最大の引き下げとなっている。ウクライナ侵攻時には3大格付け機関から「投資適格」とされていたが、4週間でソブリン格付けは最下位に位置づけられ、債務不履行の危機が迫っていることを表している。(ロイター)
実はウクライナ侵攻後、ロシアはドル建て国債の利払いを2回行っており、債務不履行を回避している。米ニュースサイト『アクシオス』は、ロシアはすでに国際金融市場からほぼ排除されているため、利払いは基本的に無意味とも言えると指摘。しかし高くつく戦争の長期化を見据えて、グローバルな資本へのアクセスを維持しようとデフォルトを避けているのではないかとしている。
ドイツの資産運用会社DWSグループのジョージ・カトラムボーン氏も、制裁が緩和されるときに自国がデフォルトしなかった健全な市場参加者であると言えるように、選択肢を残そうとしていると見ている(アクシオス)。ロシアは今年中に多数のドル建て債券の債務返済を抱えている。最大のものは4月4日に満期となる20億ドルのもので、その行方が注目される。
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