ノルウェー新車9割がEVかハイブリッド 来春にはガソリン車がゼロに?
◆寛大な優遇措置、政府がEV化を積極支援
ノルウェー人がEVを選択するようになったのにはいくつかの要因がある。新技術によってEVの航続距離への不安が解消されたことなどがその一つだが、最大の理由はお金だとNPRは述べる。
ノルウェーは長らくEVの導入を奨励してきており、電気自動車に優遇措置を設けている。たとえばEVには25%の付加価値税が免除されているし、ガソリン車やディーゼル車の購入者が支払う環境汚染税も不要だ。さらにすべての新車購入税は重量、CO2とNOx(窒素酸化物)の排出量の組み合わせで計算され累進課税になっているため、排出量の多い大型車には非常に高くなるが、クリーンなEVには有利だ。そのほかにもEVには自動車関連の多くの料金が割引か無料になり、企業保有であればEV1台ごとに税制優遇措置も用意されている。(NPR)
そのほかのEV人気の要因として、国内の充電ネットワークの充実、EV所有者によるポジティブな口コミの影響をOFVは挙げている。科学ニュースサイト『ZMEサイエンス』は、初期費用は高いが維持費が非常に安くなることも、EVが好まれる理由だとしている。さらに付加価値税免除などの政府の方針が近々変更される可能性があるということで、駆け込み需要もEVセールス好調の原因ではないかとNPRは述べている。
◆世界戦略の第一歩? 中国企業続々参入
ノルウェーには国産の自動車会社がないこともあり、EV市場は国際的になっている。人口わずか約540万人の小さな市場にもかかわらず、続々とEVを投入しているのが中国メーカーだ。テスラに挑戦するEVスタートアップの一つである上海蔚来汽車(NIO)、ウォーレン・バフェット氏も出資する比亜迪(BYD)、NIOと並ぶ新興メーカーの小鵬汽車(シャオペン)などがすでに参入済みだ。
中国国営テレビの中国環球電視網(CGTN)によれば、中国メーカーはノルウェーのEV促進政策に商機を見出しており、この市場での成功を欧州市場への足がかりにしたいと考えているという。実は中国はEVを含む新エネルギー車の製造拠点としては世界最大だが、海外では中国メーカーは低価格低品質というイメージがあり、こういったステレオタイプを払しょくしたいと考えている。シャオペンのCEOは低価格車ではなく中高価格帯で勝負に出たいとしており、ノルウェーから欧州、そしてやがては世界へ進出という中国の本気度がうかがえる。
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