アフリカ都市化の新モデルとなるか ルワンダ・キガリの「スマートシティ」プロジェクト
◆スマート・シティ推進プロジェクト
都市化を推進するルワンダは、いくつかの「スマート・シティ」プロジェクトを進めている。2018年11月、首都キガリは、グリーン・シティ・キガリ(Green City Kigali:GCK)を発表。本プロジェクトは、中低所得者層のための、サステナブルな居住地区の計画を促進するもので、ルワンダのグリーン・ファンドの指導とドイツの開発銀行の資金提供により実現している。アフリカ大陸初となるような試みとして、よりグリーンな建物とデザイン、効率的で再生可能なエネルギー、リサイクルなどといった要素を組み込んだ、サステナブルで安価な居住地区の開発を目指す。パイロット・プロジェクト対象地域は、キガリの中心業務地区(central business district:CBD)から車で15分ほどの距離に位置するキニニャ・ヒル(Kinyinya Hill)で、その規模は600ヘクタール。約15万人を対象に3万の住宅ユニットの建設を進めるとともに、2050年までのゼロカーボンの達成を目指す。GCKは、気候変動や移民対策といった都市化における問題を考慮した新しい都市開発のモデル構築、ルワンダやアフリカにおける住居不足問題の解決に向けた新たな基準設定などを目的としている。2019年の10月にフィージビリティ・スタディの一部として公表された「アーバン・デザイン・ハンドブック」には、国際基準とプロジェクト対象地域における土地調査などに基づいた、地区開発の文脈の解説がなされ、今後の都市開発・建築デザインコンペのためのデザイン・フレームワークが示されている。
また、キガリは今年6月には、スマートシティに関する新たなプロジェクト、スマート・シティ・イノベーション・プログラム(Smart Cities Innovation Programme:SCIP)を開始。SCIPは、スマートシティの構築に向けた課題解決も目指すスタートアップのための、6ヶ月間のアクセレレータープログラム。SCIPもドイツ政府が関わっており、ドイツ国際協力公社(Deutsche Gesellschaft fur Internationale Zusammenarbeit:GIZ)とルワンダのICT・イノベーション省(Ministry of ICT & Innovation)が手がけている。
先日、300の応募のなかから、フィンテック、モビリティ、クリーンテック&スマート・ハウジングの3領域における31のスタートアップが選ばれ、公表された。スタートアップは、ルワンダだけでなく、ケニアやウガンダといったほかの東アフリカの国、西アフリカのナイジェリア、ガーナ、コートジボワール、北アフリカのエジプトやチュニジア、南部アフリカのジンバブエ、南アフリカと、アフリカ各国から選出されている。たとえば、エコフレンドリーで安価なクーラーボックスを展開するナイジェリアのクールボックス(Koolboks)や、電動バイクやスクーターのライドシェアサービスを展開するルワンダのグラ・ユニバーサル・リンク(Gura Universal Link)が選ばれた。SCIPのスタートアップは、GCKとも連携して市場テストや応用、サービス改善などを進める。来年2月には結果公表の場であるDemo daysが開催される予定だ。
都市化を成長のドライバーに据えた、ルワンダの今後の経済成長と地域開発。アフリカの都市化および都市開発における、サステナブルな成功モデルとなりうるかが注目される。
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