中国の南北問題 経済好調でも格差拡大
2020年における中国の経済は、パンデミックで世界が混乱するなか、主要国のなかで唯一プラス成長を達成した。好調に見える中国経済だが、ハイテク産業などが好調な南部と従来型の古い産業がメインの北部の間の格差が以前から指摘されていた。パンデミックでギャップはさらに広がり、国家戦略にも大きな影響を及ぼしかねない問題となっている。
◆南部絶好調、北部は低迷が鮮明
中国政府のデータによれば、2020年の中国の経済規模上位10都市に含まれているのは、北部では首都北京のみとなった。中国の4直轄市の一つである天津は、初めてランキングから外れている(サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙、以下SCMP)。
2021年第1四半期の成長率を見ると、海南省が2年間の平均成長率7%でトップとなった(注:パンデミックの影響による歪みを修正するため、中国国務院は2年間の成長率平均値を重視している)。貴州省6.8%、江西省6.7%、江蘇省6.4%、湖南省6.2%が続いており、いずれも南部の省となっている。対照的に、北東部のラストベルトとされる3省では、黒竜江省1.5%、遼寧省2.1%、吉林省3.6%となり、平均以下だった(SCMP)。
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