UAEが外資規制を緩和、投資呼び込む

AP Photo / Kamran Jebreili

 アラブ首長国連邦(UAE)は、世界的な地位を高め、外国からの投資を呼び込む施策の一環として外資規制を緩和、撤廃する。11月23日に国営メディアが報じた。
 
 新型コロナウイルスの世界的な流行による経済的な悪影響を受けているなか、7つの首長国から構成されるUAEにとって今回の変革は衝撃的な動きの表れだ。

 11月初めにはイスラム法典の一連の改正が発表された。これにより未婚カップルの同棲が認められるようになったほか、女性保護で改善がみられ、アルコール消費の制限緩和がなされた。総人口900万人のうち外国人が800万人を占めるUAEだが、同国のイスラム法は時に、世界進出をはかろうとする同国の自由なイメージとはかけ離れた存在だった。

 UAEでこれほど劇的な変化が起きたのは、万博で同国を訪れる2500万の人々を迎え入れるために数十億ドルの支出がなされたときだった。ただ万博は、パンデミックを理由として2021年に延期されている。また、アメリカの仲介でイスラエルとの国交が正常化されたことを受け、ドバイとアブダビの沿岸都市でビジネスを立ち上げ、アパートを購入してくれる外国人の一団にイスラエルが加わることをUAEは期待している。とくに、低迷する不動産市場の影響でパンデミック前から経済低迷の危機にあえいでいたドバイは、外国資本と旅行客の流入を強く求めている。そして新型コロナウイルスは、観光、ホスピタリティ、航空業界に多くを依存しているUAEの経済に深刻な影響をもたらした。

 会社法を改正する今回の大統領令について、国営メディアWAMは「企業やプロジェクトの魅力ある投資先として、UAEの中東地域そして世界での主導的な地位の強化」につながると報じている。

 同メディアによると、一連の改革により、外国の起業家や投資家は現地企業の出資の有無にかかわらず会社を設立できるようになる。長らくフリーゾーン域外で49%という出資上限が課されていた多くの国外居住者にとって、この改正は歓迎されている。また、UAE国民が取締役の過半数を占め、オンショア企業の会長を務めることを義務付ける規制も法改正により撤廃された。株式公開を希望する企業の場合、売り出し可能な株式の割合が現行の最大30%から70%に引き上げられた。

 この改正によって、国内全域に設けられている45のフリーゾーンの魅力は確実に低下する。この地域では、現地雇用に関する規制を回避し、完全な外資保有を維持したいと考えている人々が事業を立ち上げていた。

 また、名目上の企業パートナーとして生計を立てていた多くのUAE国民を含め、長年にわたって不労所得を得ていた人々にとっては大きな打撃となった。それでも、国内で反対運動が起きるとは誰も考えていない。UAE国民の約8割が公的部門の仕事に従事し、相当の給与と補助金を受け取っている。世襲制で統治されている首長国において、政府の方針を厳守しているのだ。政党や労働組合の設立はいまだに違法となっている。

 ナショナル紙は外資規制の変更が半年以内に施行されると述べ、今回の大統領令を詳しく報じた。また、企業が制度改正に対応するまでには丸1年を要する可能性があるとしている。

By ISABEL DEBRE Associated Press
Translated by Conyac

Text by AP