習氏、深圳のさらなる開発促進を公約 世界のハイテク拠点に

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 中国の習近平国家主席は10月14日、中国最大のハイテク産業集積地である深圳の開発をさらに加速させる新方針を打ち出した。アメリカの技術製品に対する中国企業のアクセスを阻害するアメリカ政府との確執が深まるなか、中国政権としては、中国国内でハイテク技術基盤サプライヤーの役割を担う企業群を新たに育成する野心的政策をよりいっそう、強化する構えだ。

 香港に隣接する深圳地域は、かつては小さな漁村に過ぎなかったが、中国共産党はここを中国初の自由経済特区に指定した。その開発40周年を記念する演説のなかで習氏は、新たな産業を奨励するための規制緩和を行うことを確約した。

 習氏は、「中国国家の大幅な若返り」と「生産の最適化およびアップグレード」を提唱。通信、バイオテクノロジー、電気自動車から再生可能エネルギーにいたるまで、多くの分野で世界と戦える中国を目指すという並々ならぬ野心をのぞかせた。

 この一連の計画では、深圳に拠点を置く企業群が重要な役割を果たすことになる。ここには、中国初のグローバル・ハイテクブランドで、スマートフォンやネットワーク機器のメーカーとして知られるファーウェイも含まれる。ファーウェイは、アメリカにとっての安全保障上の脅威、ないしはアメリカの産業支配構造を脅かすライバルとして、アメリカの不満の対象となった。

 習氏は今回の演説において、会場に集まった多数のビジネス関係者や行政当局者を前に60以上もの政策変更ないしは新たな政策指針を提示した。習氏は、その詳細にまでは触れなかったものの、深圳は「重要な分野において、これまで以上の自治権を獲得するだろう」とも発言している。

 会場に集まった聴衆らは、その全員がマスクを着用。そのなかには、ファーウェイの設立者であるレン・ジェンフェイ氏や、今年1月に新型コロナウイルスの人から人への感染に関する公式発表を最初に行った著名な科学者のゾン・ナンシャン氏の姿もあった。

 深圳は、かつての国家主席、鄧小平氏による1992年の政治行動「南巡講話」の訪問地のひとつで、中国政治においてはきわめて重要な位置を占める。民主化運動を武力鎮圧した1989年の天安門事件直後の政治的低迷期を経て、1992年に一連の政治行動を起こした鄧小平氏は、以前から提唱していた「改革開放」戦略を復活させるよう中国指導部に呼びかけた。

 その時点で国家主席の地位にいた江沢民氏は、最終的に鄧氏を支持する方針を固め、市場経済路線へと舵をきった。そしてこの変革こそが、その後の数十年にわたって継続する爆発的な経済成長の端緒となった。

 独自のハイテク企業群を育成し、グローバル市場での競争力を高めようとする中国の取り組みは、その後、アメリカとの緊張を高める結果をもたらす。そして2018年には、ドナルド・トランプ大統領が中国製品の輸入関税引き上げを決定するにいたった。

 アメリカ政府は国内企業に対し、ファーウェイへの半導体部品や製造技術の販売を禁止する措置をとった。これにより、ファーウェイが販売するスマートフォンや、ネットワーク機器の一種であるスイッチング機器類の売上は大きく落ち込む見通しだ。トランプ大統領はさらに今年8月、深圳を拠点とするハイテク大手・テンセント社が運営する人気のメッセージングアプリ「WeChat」を、アメリカ国家安全保障上の脅威とみなして規制する大統領令に署名した。

 グーグル社が開発したスマートフォン向けOSのAndroidをはじめ、アメリカ企業が製造するハイテク部品やソフト、サービスへのアクセスを阻害するアメリカ政府の対中政策が今後さらに広がれば、上記以外の中国ハイテク製造企業にもその混乱が波及する恐れがあると、エコノミストらは警告を発する。

 アメリカ政府の一連の措置を受け、中国共産党は半導体チップやそのほかのハイテク部品を製造する中国国内企業の育成政策に、いままで以上に急ピッチで取り組む必要に迫られている。その政策は、深圳のほか中国国内のいくつかのハイテク製造拠点に集中している。

 1980年当時は人口3万の村に過ぎなかった深圳は、いまでは約1300万の人口を擁する都市に成長した。去年1年間の深圳の総生産額は2.7兆元(約42兆円)で、これは人口5800万人を擁する南アフリカ共和国のGDPを上回るものだった。

 中国政府の計画によると、深圳は、広東省を流れる珠江の河口部に位置する都市群を統合し、地域経済を牽引する役割を担う。その一方で、深圳のさらなる発展が、そのすぐ南に位置する香港地域の、長年築いてきたビジネスハブとして地位を危うくするとの危惧も高まっている。

 現在、深圳中心部のオフィスビル街の規模は、ニューヨークのマンハッタンや、すぐ南に隣接する香港にも匹敵する。平安国際金融センタービルは599メートルの高さを誇り、世界で4番目に高い超高層ビルだ。また深圳には、中国本土にある2つの証券取引所のうちの1つが存在している。

 そこから生み出される莫大なマネーのみならず、人口においても、すでに深圳はニューヨーク市のほぼ2倍の規模に匹敵する。それにもかかわらず深圳は、緑豊かで落ち着きのあるビジネスパーク的な趣を備えた都市だ。

 市内の大手ハイテク企業や金融企業のオフィスの駐車場に目を向けると、そこには深夜にいたるまで、会社の幹部らが使用する高級欧州車や高級日本車が溢れている。だが一方で、この都市に家族で暮らす市民の口からは、市内にはすべての児童を十分に受け入れるだけの学校が整備されておらず、家族で憩える公園の数も足りないとの声も聞かれる。

By JOE McDONALD AP Business Writer
Translated by Conyac

Text by AP

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