感染増加でもロックダウン避けるべき? 各国がその有効性を再考

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◆再ロックダウンは経済を殺す 感染再拡大で苦悩
 ロックダウンにより多くの国々では感染が劇的に減ったが、最近は感染が再度拡大傾向だ。リヒテンシュタイン公国のミヒャエル王子は、自身が設立した団体のサイト『Geopolitical Intelligence Services』に寄稿し、欧州ではいくつかの国が再ロックダウンを検討していると述べる。

 ドイツも再ロックダウンを検討中と見られるが、ドイツ経済専門家評議会の議長、ラース・フェルドは、経済回復を妨げる愚策だと主張している。さらに欧州最大のドイツ経済がまたロックダウンすれば、ほかの欧州諸国に与える影響は大きい。ミヒャエル王子は、景気がさらに悪化すれば、各国がEUの援助を正当化することにつながり、政府の過剰支出、ゾンビ企業の延命、競争原理の働かない政府主導の経済計画、不動産バブルなど、さまざまな問題が出て来ると懸念している。

 実際のところ、再ロックダウンの余力がない国もある。テレグラフ紙は、感染急増中のスペインでは最初のロックダウンが長かったこと、観光業への依存が高いことから、2度目は経済への死の宣告になり得るとしている。フランスでは8月最後の金曜日に1日当たりの感染者の増加が3月以来最大を記録。マクロン大統領は再ロックダウンの可能性について触れたが、政府としては弱った経済へのさらなる打撃となるだけにできる限り避けたいとした(英i紙)。コロナ制圧に傾けば経済が犠牲になるというジレンマが各国を苦しめている。

◆リスクゼロは目指せない メリハリをつけた対策を
 WSJは、ロックダウンの有効性に懐疑的だ。ロックダウンには二つの目的がある。一つは、感染のカーブを緩やかにし、ゆっくりと感染が広がることで医療機関の負担を下げるという「緩和」だ。もう一つは、感染を限りなくゼロに近づけようとする「封じ込め」だ。中国やニュージーランドはそれぞれ権威主義と忍耐力で「封じ込め」に成功したが、アメリカなどは「緩和」なのか「封じ込め」なのかゴールがはっきりしないままロックダウンをし、十分に感染が抑えられないまま経済を再開して、また感染拡大に転じてしまった。

 この反省を踏まえ、ハーバード大学のマイケル・ミナ氏は、今後はロックダウンより最小のリスクで経済的恩恵が最高になる選択をすべきだと述べている。具体的には、①リスクの高い高齢者を隔離し、死亡率の低い子供たちは学校に戻す②企業はソーシャルディスタンシング、衛生状態、在宅勤務を意識して活動を再開する③マスクを着用する④教会、インドアスポーツ施設、バーなどクラスターになりやすい場所の閉鎖を継続する、などを上げている(WSJ)。

 エコノミストのポール・オームロッド氏は、法的に施行可能な規制だけを課しロックダウンをしなかったスウェーデン式のほうが結局正しかったと見ている。ロックダウンがコロナの死者を減らしたのは事実だが、莫大な経済的社会的損害を考えれば正当化することはできないとしている(英City A.M紙)。

Text by 山川 真智子

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