ホームベーカリー、ニンテンドースイッチ……新型コロナで米国で売れたもの
◆在宅で新たな需要増 すべてを家で
3月下旬以降、ロックダウンで多くの人々が在宅勤務を始めた。突然ホームオフィスの環境作りを迫られた人々の需要で、プリンターのミニブームが見られた。これまで使っていなかった地下室をオフィスやジム代わりにする人も増え、暖房用ヒーターの需要が増えたということだ。USAトゥデイ紙によれば、子供のオンライン学習が始まり、ラップトップの売り上げも伸びた。ワークアウト用のダンベル、ヨガマットの需要も増加した。
在宅の時間が増えたためドレスアップする必要がなくなり、衣類の売り上げは減少した。唯一減少が少なかったのは、スウェット、パジャマなどの家着だ。毎日着るため、洗い替えを求める人が多かった。また、美容院に行けないことから、ヘアカラーなどの需要が増えたという(WSJ、USAトゥデイ紙)。
バーやレストランに行くこともできなくなり、酒類の購入が急増した。ニールセンの調べでは、オンラインでの酒類の売り上げは、昨年比で3月最終週に291%増、4月1週目441%増、2週目387%増と激増している。しかも、値段の高いもののほうがよく売れたという。外で飲めなくなったことで、家飲み用に高価な種類を買う人が増えたと見られている(業界誌スピリッツ・ビジネス)。家でカクテルを楽しむ人が増え、カクテル用の材料の売り上げも好調。ジン、ウィスキーといった強い酒も需要が増えたという(WSJ)。
◆手作りブームも到来 今後の消費は?
家にいる時間が増え、手作りもブームだ。WSJによれば、ホームベーカリーのセールスが急増し、ワッフルメーカー、サンドイッチメーカーなども売り上げを伸ばした。お菓子作りに使う、マフィン型、ベーキングシート、イーストなども品切れが続出したという。その他、家庭菜園用の種、日曜大工用品も需要が増えた。巣ごもりホビーとして裁縫も注目され、ミシンの売り上げも伸びた。マスク不足も手伝い、手作りマスク製作が目的での購入も多かったということだ(USAトゥデイ紙)。
外出できないため、家で映画やドラマを楽しむためのストリーミングサービスの契約も増加した。ビデオゲームは相変わらず子供たちに人気だが、ニンテンドースイッチはほぼ手に入らないという。意外に人気なのが、昔ながらのボードゲームやジグソーパズルだった。屋外用として、シャボン玉メーカー、バドミントン用品なども売れ筋だったという(WSJ、USAトゥデイ紙)。
こういったコロナ禍における特殊な需要は旺盛だが、消費全体としては落ち込んでいるとWSJは解説する。オンラインは伸びたものの、やはり実店舗の消費減をカバーするまでには至らないという。今後心配されるのは、失業の増加だ。すでにアメリカでは2700万人が失業手当を申請しており、給与カットを受けている人も多い。消費が回復するまでにはかなりの時間を要しそうだ。
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