解雇させない、政府が給料肩代わり コロナ終息後を見据えたデンマークの経済対策
◆経済をフリーズ コロナ後の回復をスムーズに
デンマークのオールボー大学、労働市場調査研究所のフレミング・ラーセン教授は、政府による給与補償は、企業と労働者との関係の維持が目的になっているとアトランティック誌に説明する。多くの労働者が次の数ヶ月間は働くことができないのは明白で、通常なら職を失う人が出る。しかし一度解雇すれば、次にまた採用という作業が必要になり、これは感染終息後の経済回復の妨げとなる。よって政府は経済を3ヶ月間凍結させ、感染が制御できるようになった時点で解凍し、ほぼすべての人々をコロナ以前の就業状態に速やかに戻そうという考えだ。
ラーセン教授は、2008年の世界金融危機の際、デンマーク政府は国の負債の増大を恐れて大規模支出を控え、結果として失業率の上昇を招いてしまったが、いまのデンマーク経済は当時よりも強く、皆で経済を守らなければいけないと考えを述べる。いまやらなければ経済を救うには後でもっと大きな支出が必要になり、また一度壊した人々の生活や企業をもとに戻すには長い年月がかかるため、今回は未知の領域であるため結果はわからないが、賢明な決定ではないかとしている(同上)。
◆出口見えた? 制限を段階的に解除へ
ロイターによれば、デンマークは保育園や学校を4月15日から再開させる予定だ。ロックダウンを段階的に緩和させる最初のステップということだ。メッテ・フレデリクセン首相は、現状を綱渡りに例え、立ち止まれば落下し急げば誤りを犯すと述べ、慎重に一歩ずつ進んでいかねばならないと説明している。
過去1週間で、デンマークでの新型コロナウイルス感染に関連した入院数や死者数は落ち着いてきたという。段階的再開は感染の状況次第だとフレデリクセン首相は述べ、国民には引き続き政府のソーシャルディスタンシングや衛生に関するガイドラインに従うことを求めた。欧州ではオーストリアに次いで2番目にロックダウンの段階的解除における日程と詳細を示した国となっており、一足先に出口が見えてきたようだ。
- 1
- 2