国民に現金を給付、米がコロナ経済対策で検討 ベーシックインカム提唱のヤン氏も協力

ムニューシン財務長官とトランプ大統領|Evan Vucci / AP Photo

 トランプ政権は、新型コロナウイルスの感染拡大がもたらす経済への影響を和らげるため、1兆ドル(約109兆円)の大規模経済対策を検討中と発表した。そのなかには国民への現金給付も含まれており、無条件で一律の額を国民に支給するユニバーサル・ベーシックインカム(UBI)のアイデアが現実味を帯びてきた。

◆働けない労働者 いまこそキャッシュを配れ
 アメリカでは感染者数がすでに1万人を超えており、経済への負の影響はこれから本格化すると見られている。感染予防でさまざまな場所が閉鎖されており、今後はレストラン、バー、映画館やホテルなどで働く時給労働者の収入が途絶え、食費、家賃、光熱費を支払うこともできなくなるとCNBCは指摘している。米下院では14日にコロナウイルス救援法案が可決された。しかし健康保険に加入している人、正規雇用されている人にはメリットはあるが、非正規やパート労働者などには不十分な内容で、直接的に家計を支える対策は盛り込まれていなかった。

 政治家のなかには、いまこそ現金給付で国民を支えるべきだという意見が党派を問わず多数見られる。共和党のミッド・ロムニー上院議員は、すべての成人に1000ドル(約10万9000円)の小切手を渡すべきだと主張している。同氏以外にも、共和党上院議員のトム・コットン氏、民主党下院議員イルハン・オマル氏、ジョー・ケネディ三世氏などが、直接現金給付を支持している(ビジネス・インサイダー誌)。

 ウェブ誌『Vox』によれば、もともとトランプ政権は、給与税の削減で対応しようとしていたらしいが、直接給付のほうが迅速かつ的確だという意見に変わったという。17日の会見でムニューシン財務長官は「アメリカ人はいま現金を必要としている」と述べ、今後2週間で給付にこぎつけたいという考えを示した。

Text by 山川 真智子