トランプ氏「米企業は中国から撤退せよ」、実現可能なのか?

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 トランプ大統領が、アメリカの企業は中国から撤退せよ、とツイートした。アメリカはこれまで不当に中国から莫大な金額を搾り取られ、知的財産まで盗まれているというお決まりの主張をその理由としているが、実際にはあまりにも無理な話だと指摘されている。

◆撤退は大統領命令 法的な権限は?
 トランプ大統領は、「米企業には、アメリカに戻り国内で生産することも含めて、中国以外の選択肢をいますぐ探し始めることを命ずる」とツイートした。いったいどんな権限があってそんな命令を出しているのかと疑問の声も上がったが、ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)によれば、「国際緊急経済権限法」で対応しようとしているという。

 この法律のもと、非常事態を宣言すると、他国に対する制裁といった幅広い権力をトランプ大統領が行使できるようになる。輸出入阻止、中国の資産凍結、米金融システムからの中国の金融機関の除外なども可能になるということだ。しかし、ほとんどの専門家が、米企業に中国からの完全撤退を求めるのは、この法律の範囲外だと見ており、実現の可能性は低そうだ。

Text by 山川 真智子