少子化でも人口増加 ドイツ、外国人労働者を積極的に獲得 人手不足に対応
◆貧しい国から富める国へ、東欧も人口減少危機
一方、ドイツなど西欧諸国に移民を送り出しているバルト海からバルカン半島にかけての国々でも、高齢化と人口減少が起きている。IMFのTao Zhang氏によれば、これらの国々では2050年までに人口が12%減少するという。労働力も4分の1減少し、若者が支える高齢者の数も2倍になるとしている(ブルームバーグ)。
長年にわたり、労働力不足が起きれば経済危機につながり、高齢者が増えれば高額な医療の需要が増えると言われてきたが、これらの国々では問題への対応が不十分だ。十分に豊かになる前に、高齢化が始まってしまったためだとZhang氏は説明する。
定年の引き上げ、退職者も含めた就職のためのインセンティブの拡大が対策として上げられているが、クロアチアのような平均寿命の短い国では、定年延長への抵抗は強いという。また外国人労働者の受け入れも選択肢だが、ポピュリズムが広がり、欧州外からの移民に敵意が強い地域であるため、難しいだろうとされている。
西欧への人口流出も当然国の成長には悪影響を及ぼしているため、賃上げと医療や教育などの充実で歯止めをかけることも提案されている。しかし、賃上げをすれば、生産性の低下につながると主張する国もある。また、すでに人手不足から賃上げを進めている国々さえも労働力確保に苦戦しているということで、豊かな国への労働力の移動は国の生き残りの問題となっている。
◆早い者勝ち? 労働力確保で対象拡大
実はドイツは非EU諸国からの受け入れにも積極的だ。DWによれば、連邦統計局の調べでは、過去3年間で非EU諸国からの外国人は毎年20%増加しているという。出身国は、インド(12%)、中国(9%)、ボスニアヘルツェゴビナ(8%)、アメリカ(7%)が上位を占める。
とくに目立つのは、アルバニア、モンテネグロ、コソボ、マケドニア、セルビア、ボスニアヘルツェゴビナで、労働許可証を持っている外国人の25%を占めるという。これは、西バルカン諸国が2014年と2015年に安全とみなされ、これら地域出身者の人道的居住許可証の取得が困難となり、代わって労働許可証の取得が進んだためだという。
2018年終わりに新法が承認され、非EU出身の低資格労働者が、ドイツで働くことが容易になった。同時に、亡命申請が却下された移民にも定住の可能性を与える法律も承認されており、反移民政党「ドイツのための選択肢(AfD)」などは大きく反発している。未来のためにいち早く移民国家へ舵を切ったドイツの賭けに、今後注目したい。
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