「令和」改元ブームで商機 過去最長のGWも
皇太子徳仁親王の新天皇即位を間近に控え、日本では、それに伴う令和時代の到来という近年最大の祝い事に向けた準備が進められている。大型連休と記念行事を機に、企業は消費者の財布の紐が大いに緩むと見込んでおり、これが大きな商機となるといえる。
4月30日の明仁天皇の退位に続き、5月1日には新たな時代が始まることを受け、日本では多くの人が10連休という史上最長の「ゴールデンウィーク」を迎えることとなり、大規模なセールで得をしようという人もいる。そこで心配されるのは、大渋滞と、大勢の客が殺到する連休中に、在庫を切らさずにいられるかという点だ。
ワタナベ・ケンゾウ氏と、婚約者のヤナギハラ・チハル氏は、普通なら7万円近くする結婚式の諸費用を、わずか4万8,000円で済ませることができた。
ヤナギハラ氏は試着の日、ドレスの一覧をスクロールしながら、「いくつかイベントを控えているので、お金がかかります。だからお手頃な結婚式を探し求めていました。いいタイミングでしたし、このようなセールがあって本当に助かります」と言う。
明仁天皇の平成時代から次の令和時代へと移行するが、これを祝えるというのはめったにない出来事だ。平成を迎えたのは、明仁天皇の父、故・裕仁天皇の喪中であり、この時は自粛ムードが漂っていた。
日本国民の多くが、令和がより良い時代となるよう望んでいる。ここ数十年間に、同国はバブル経済の崩壊と、長引く不況に直面した。そこで数々の企業が、「平成最後」の旅行やイベント、さらにカレンダー、スタンプ、饅頭、Tシャツ、飴といった「平成最後」を謳った商品で、利益を上げようと目論んでいる。
ウエディングサロンは大盛況だ。
ワタナベ氏、ヤナギハラ氏の結婚式を担当するウエディングサロンを運営するレックでマーケティング部長を務めるカツラ・マサユキ氏は、「今年1月、2月、3月の客数は、昨年より10%増と急増しました」と語る。
第一生命経済研究所の永濱利廣主席エコノミストによると、アナリストらの見込みでは、改元により全体で5,000億円相当の経済効果がもたらされる。同氏の計算では、ウエディング業界だけでも860億円の消費の増加が期待される。
「今回は、退位に向けて祝賀ムードが漂っています」と永濱氏は言う。
消費増の一端を担うのが、事務用品、カレンダー、公的書類など、改元に伴い変更が必要となる商品の買い替えだ。
日本でも、多くの国で普及している欧米型のカレンダーが広く使用されているが、政府や企業が正式な取引に使用する書類や判子には、通常、日本古来の日付表記が用いられている。
はんこメーカーの吉報堂には、4月1日に新元号が発表されて以降、新元号令和の文字を刻んだはんこに、1日あたり300~500件の注文が寄せられている。
吉報堂の小嶋茂男代表取締役は、「テクノロジーの発展を受け、ここ最近のはんこ事業の受注量はさほど多くありませんでした。しかし今回は、商機となると見ています。改元はありがたいことです」と言う。
アナリストらによると、改元に伴い、日本では「ゴールデンウィーク」の連休が、通常でも4月27日~5月6日までの10日間と長くなるため、特に観光業界では消費が増えると思われる。
ビール会社は需要の急伸を見込んで出荷量を増やしており、百貨店は記念商品の在庫を確保している。
その一方で、多数の工場が1週間超の休業を予定しているため、一部企業にとってはこの長期休業が痛手となり得る。また、連休に向けた準備に追われている企業もある。例えば、連休中には2,500万人が移動するため、交通渋滞が予想される。そのためジャストインタイム供給が当たり前となった日本の流通会社は、渋滞により荷物の到着が遅れると懸念している。
テーマパークなどの観光地は、連休にあわせた値上げを予定しており、家計が苦しいという人にとっては、楽しみとも言い難い。時給制で働く人の場合は、収入が減ってしまう。
時事通信社のアンケート調査によると、回答者の40%が今回の連休を嬉しいと思っておらず、嬉しいと回答した36.5%を上回る結果となった。
週刊現代は見出しで、「富裕層だけが喜ぶ・10連休のことは忘れろ!」と主張している。
ワタナベ氏は、今月19日に結婚式を迎えたが、このタイミングに結婚しようという決断を下したことと、平成が終わるということに、さほど関係性はないと言う。ただ婚約者の誕生日が4月だったので、結婚するいいタイミングだと思ったそうだ。
「今年は私たちにとって、数々の忘れられない出来事が起こる年となるでしょう。だから平成最後のこの年は、私たちにとって忘れられない年になりそうです」とワタナベ氏は言う。
By HARUKA NUGA Associated Press
Translated by t.sato via Conyac