ドバイ、経済減速も万博向け巨大プロジェクトを推進 不動産価格が下落中

AP Photo / Kamran Jebreili

 先週、ドバイは最新の巨大プロジェクトの詳細を明らかにした。贅の限りを尽くしたレストランや店舗が集まる地域の中心部に、新しいアリーナを建設する。

 スポーツイベントやコンサートが開催される予定のアリーナは、娯楽施設や小売店、および住宅が立ち並ぶシティーウォークと呼ばれる地区に建設が計画されている。このシティーウォーク自体も、ドバイのムハンマド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム首長が所有する会社、メラースが最近開発した新しい地区だ。

 これは、景気の減速と供給のだぶつきが不動産価格の下落を招いている懸念があるにもかかわらず、2020年にドバイで開催される国際博覧会に向けて同国が次々と急ピッチで進めている数あるプロジェクトの一つに過ぎない。

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 不動産投資運用会社のジョーンズ・ラング・ラサール(JLL)で中東調査責任者を務めるクレイグ・プラム氏は、「不動産関連の事業には循環的な一面があり、現在は市場が低迷の時期にある」と語る。アブダビで開催された不動産展示会の席上、プラム氏は、厳しさを増す不動産市場の中で、より柔軟な賃貸契約を締結する家主が増加しており、家屋の賃貸料も下落していると述べている。

 メラース、エマール、およびナキールなどドバイの有力デベロッパーは、新たな都市の構築、近隣地域の開発、ショッピングモールや高層ビル街の建設、および、天井から床まで総ガラス張りの部屋を持つ水上家屋をドバイの沿岸の海中に設置するといった空想的なコンセプトまでも含め、多くのプロジェクトを計画している。

 これらのプロジェクトは、観光の目的地や金融の中心地として成長したいというドバイの野心を反映している。しかし、壮大過ぎる開発の規模は、現在の需要を上回っている。

 事実、2014年に原油価格が下がり始めて以来、アラブ首長国連邦(UAE)全体の不動産の価格は下落の一途をたどっている。昨年、原油価格が上昇したが、UAEを先導するドバイの不動産市場はその影響をほとんど受けなかった。

 不動産を扱うサヴィルズの報告によると、ドバイのダウンタウンの不動産価格は昨年、16%も下落しており、需要と供給がアンバランスな現況を取り巻く数々の問題は今年の終わりまで継続すると考えられるという。

 ドバイ政府が4月15日の週に発表した統計では、2018年の国内総生産(GDP)は1.9%の成長率を示したが、GDPの成長率が4.6%を記録した2014年以降、その数値は前年に比べ着実に小さくなっている。

 景気の減速にもかかわらず、ドバイの大手デベロッパーは、来年開催予定の国際博覧会に向けて幅広く着手したプロジェクト推進の勢いを緩めようとする気配は一向に見られない。

 JLLによると、ドバイ国内で約1万戸の住宅が2019年の第1四半期に完成したという。

 ドバイ国際博覧会は、2020年10月から2021年4月の6ヶ月間にわたり開催され、会期中に2,500万人が来訪すると予想されている。しかし、ドバイ国外からどのくらいの人数が来場するのかは不透明だ。

 アーンスト・アンド・ヤング(E&Y)が実施した調査報告によると、2020年ドバイ国際博覧会は6ヶ月の会期中、およそ60億ドルの経済効果をUAEにもたらすと予測されている。ただし、この数値は主にドバイ政府の発表したデータから算出したものであり、E&Yは報告書の中で、同社は情報源の信頼性を確証したり、報告書を作成するにあたり提供された情報を検証したりしていないと述べている。この報告書は、ドバイ国際博覧会の主催者の委託によって作成されたものである。

 国際博覧会が大儲けをもたらしたり、経済の起爆剤となったりするであろうという期待の高まりにもかかわらず、不動産部門などの産業におけるサプライチェーンに波及している支払いの遅延に対し、下請け業者は不満の声を漏らしている。

 UAE全域の非石油関連企業が解雇や雇用の凍結を実施し、経済鈍化が続くここ10年近くの間で最も急激に従業員の人数を削減していることをドバイの有力銀行の一つ、エミレーツNBDが3月に発行された報告書で明らかにしている。

 UAEの人口の大部分を占めるのは外国人だが、彼らは、ドバイおよびアブダビやシャールジャなど近隣の首長国において増加し続ける生活費に対応することが次第に困難になりつつあると感じている。高騰している学費の負担を軽減するため、ドバイは今年、私立学校が学費を値上げすることを禁じた。

 ドバイの人々の中には、あまりにも生活費が高くなると、家族でシャールジャに移り住み、毎日ドバイに通勤する人々もいる。しかし、それでもなお一部の人々にとって生活費の高騰は深刻な問題だ。

 UAE全域で活動している技術工学コンサルタント企業の代表取締役社長、バラスカンダン・ラグフナサン氏は、「家族たちは去ってしまった」と語る。

 ラグフナサン氏は、学費が高過ぎる上に満足な雇用の機会が得られる十分な保証がないため、家族ごとドバイを去っていったインド人を何人も知っているという。

「ドバイは、国民の家族のために何らかの手を打つ必要がある。ドバイの家族は、国内に住むのが望ましい。ドバイの人口増加は十分とはいえない」とラグフナサン氏は言う。

By AYA BATRAWY Associated Press
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Text by AP