北米で愛されるピックアップトラック 人気の理由は?
◆改良に次ぐ改良の歴史
ピックアップトラック全盛の背景には、数十年にわたるメーカーの継続的な努力がある。不動の人気を誇るF-150の秘密は、創意に富んだデザインである、とファースト・カンパニー誌は報じている。かつては農家や牧場主などを中心に売れていたピックアップトラックだが、1940年代にアドバンス・デザインをまとったスタイリッシュなシボレーが登場すると、瞬く間に消費者層に広まった。翌年にはフォードがFシリーズを発表し、こちらも幅広い層に訴えるデザインで大成功している。1950年代にはフォードがクッション性の高いシート、耳当たりの良いダブルホーン、そして遮音性を向上したFシリーズの新モデルを投入し、居住性を向上した。1987年には後輪にABSを標準搭載、2014年にはボディをスチールからアルミに変更するなど、さらなる改良が続く。
こうしたデザインの変更により、ピックアップトラックはファミリー層にも受け入れられる存在となった。近年では輪をかけてスタイリッシュになり、荷台を短縮して居住性を優先する傾向にある、とコンシューマー・レポート誌は報じている。ここ10年ほどは後部座席を設け、代わりに荷台スペースをやや削減したモデルが人気だ。子供を乗せたいファミリー層にも人気が広がっている証拠だと言えるだろう。
かつては労働の現場で活躍していたピックアップトラックだが、NBCによると、かのメルセデスベンツもX-Classと呼ばれる新シリーズを市場に投入している。コンシューマクラスを制したピックアップトラックは、高級市場にさえ進出しつつあるようだ。