ドイモイ政策、サムスン、TPP……成長続けるベトナム経済の歩み

AP Photo / Dita Alangkara

 トランプ大統領と金正恩朝鮮労働党委員長による2回目の首脳会談がベトナム・ハノイで開催される。ベトナムは、共産党政権であった北ベトナムとの戦争からアメリカが撤退した1970年代以降大きな発展を遂げてきた。

 南北が統一され、今や9,500万人の人口を抱える新興国家となったベトナム。さらに1980年代半ば、貿易取引に積極的に乗り出し、韓国サムスンやその他大手製造企業の生産拠点として発展を遂げる第一歩を踏み出した。当時の共産党政権によって導入された「ドイモイ政策」は、主に「世界の工場」へと変身していく中国を模範とした内容であるが、北朝鮮にとっての手本にもなり得るだろう。

                                                                                                                 

◆成長を目指して
 2018年のベトナムの経済成長率は、2桁成長を示した製造業生産高に支えられ、年7%強の拡大が見込まれる。5,540兆ベトナムドン(約26兆4,451億円)を誇る国内総生産(GDP)は、世界の経済大国トップ50位以内に入る。経済成長に伴い、貧困率は低下し、平均寿命は76歳に延びた。

◆サムスンがもたらした契機
 半導体や携帯電話の分野で世界最大手の韓国サムスン電子による莫大な投資に触発され、マイクロソフトやインテルなど、世界的な大手メーカーがベトナムに参入し始めた。2009年、サムスンはベトナム国内で初めてとなる携帯電話製造工場を設立した。現在、ベトナム国内複数の工場で働く従業員数は10万人を超える。2017年には、サムスン製品の輸出額がベトナム全体輸出高の4分の1以上を占めた。首脳会談が開催される首都ハノイ郊外にある工場を金委員長が視察する可能性について、サムスンはコメントを控えた。

◆活況を呈する輸出産業
 ベトナムは、世界貿易機関(WTO)や、環太平洋パートナーシップ(TPP)などの地域的な機構に参加し、適用される低税率の関税をうまく利用することで近隣諸国より優位に立ち、輸出高も大幅に増えてきた。その間にも、韓国や日本、中国の製造企業が、低コストや他の動機に駆られて押し寄せている。2017年の輸出額は、前年比20%以上増加し2,140億ドル(約23兆6,600 億円)となった。同年の対アメリカ輸出額は約420億ドル(約4兆6,400億円)となり、ベトナムにとって最大の輸出市場である。輸出品目は携帯電話のみならず、電子機器や靴、アパレル製品なども主要な輸出産業である。

◆残された課題
 ようやく中所得国に移行しつつあるベトナムは、引き続き生活水準を高めるための鍵である、生産性の向上に取り組んでいる。エコノミストによると、ベトナムの生産性は、中国のおよそ3分の1しかなく、富裕国と比較するとはるかに低い。輸出産業に牽引される成長に強く依存したままでは、世界的な景気減速の影響を受けやすい体質から脱することはできない。また、ベトナムの首脳陣は中国に倣い、メディアや反政府的な意見、そのほかの自由について厳しく規制を敷いている。地方における貧困や公害、汚職は深刻な懸念であり、北に隣接する大国同様、ベトナムでも、かつて中央指令型経済体制が敷かれていた時代の名残を残す国営企業の改革に取り組んでいる。

◆将来への展望
 何年にもわたって海外から巨額の投資を受けてきた今、世界的な経済減速に伴い、ベトナムへの資金流入が徐々に減少していることは理解できるだろう。世界銀行や専門家たちは、成長を持続させ競争力を維持するには、民間企業に対してより大きな裁量を与えること、そしてより高度な技術を積極的に採用することが必要であると忠告している。

By ELAINE KURTENBACH, AP Business Writer
Translated by Mana Ishizuki

Text by AP