中国経済の減速、労働者を圧迫 個人消費にも影響

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 アメリカ向けの輸出は、トランプ大統領による関税引き上げ措置にもかかわらず、2018年後半まで持ちこたえた。しかし、12月の売上は前年比3.5%減となった。アメリカによる一連の懲罰的関税が需要に影響を及ぼし始めたのだ。神経質な企業や消費者はすでに、投資や高額な買い物を保留している。

「米中貿易戦争の影響で消費意欲は低下し、不透明感が増しています。これは明らかに2019年の成長見通しに対するリスクとなります」と、IHSマークイットのアジア太平洋担当チーフエコノミスト、ラジブ・ビスワス氏は述べる。

 すでに進行中である、雇用や産業における苦痛を伴うような変革による圧力は、景気の減速に伴って強まっている。長期にわたる選挙戦の最中、肥大化した国有産業を縮小するため、共産党は鉄鋼、石炭鉱業に携わる数百万人の人員削減を行った。

 2017年以降、北京や上海、その他大都市では、公式の居住許可証を持たない出稼ぎ労働者を強制的に退去させてきた。地方の政治指導者は人口増加を抑制するためだとするが、出稼ぎ労働者たちはレストランや小売業者、その他企業にとって頼みの綱となる従業員であり、昨今ではますます重要な顧客でもある。

 北京にある中国最大手自動車メーカーの販売特約店では、セールスマネージャーが販売台数は半減したと話す。5万元(約81万円)からの低価格帯モデルを購入する、出稼ぎ労働者の退去が原因だという。

 「多くのこのようなお客様が、十分な仕事が得られないため故郷に帰りました」と、本名も勤め先も特定されないことを約束し、マネージャーは話す。「最高級クラスの車種についても売上は落ち込んでいます。それらを購入するお客様は、出稼ぎ労働者にサービスを提供する会社を経営しているのですから」

 全体的に見て、2018年1~9月の個人の可処分所得は比較的好調で5.7%の増加となったが、2017年の6.6%と比較すると下落している。2018年11月の小売売上高の成長率は、予想を下回り、前年比8.6%に落ち込んだ。これは5ヶ月間で最低の数字である。

 この数十年にわたって中国の好景気を支えた建築業界もまた、低迷している。

 資金繰りに苦しむ中国北西部の開発業者の中には、請負業者に対して集合住宅を譲渡することで支払いの代わりとしている企業もあると、金融調査会社ジェイ・キャピタル・リサーチ社のアン・スティーブンソン・ヤン氏は話す。請負業者が後に売却できればよいが、開発された住宅団地の4分の3が空き家である場合もあるという。

 北京南西部にある広東料理レストランの経営者は、店をたたみ、上海近郊にある故郷の町へ戻りたいと思っているが、商売の買い手が見つからないと話す。「利益を出しているけれど、多くを稼ぐことはできません」

 政府の刺激策が功を奏し、今年中に景気低迷は底を打つだろうとエコノミストらは予測する。しかし、慎重派は財布の紐を緩めない。映画関連会社で部長代理を務めるペイジ・フー氏もその1人だ。

「経済が衰退し続けることを心配しているのです」と、フー氏は話す。

By JOE McDONALD, AP Business Writer
Translated by Mana Ishizuki

Text by AP