米中貿易戦争、世界経済に混乱を招く恐れ 激化すれば雇用・投資に悪影響
例えばチックフィレイのサンドイッチをよく購入するという人は、その影響を実感するかもしれない。北米食品機器製造業協会(North American Food Equipment Manufacturers)のチャーリー・ソウラダ氏によると、今回の関税により、チックフィレイが使用している圧力鍋などの価格が引き上げられる恐れがある。
ソウラダ氏は、トランプ政権は「この輸入税を丸ごとメーカーに」負担させており、その負担はやがて消費者にも及ぶだろうと言う。
関税が農業、造園業、建設業に大きな負担となり得ることを示す例として、ボブキャット製の掘削機やローダーの値上げが挙げられる。これらの製品には、中国から輸入した留め具を使用している。アメリカにはこの留め具を製造する業者がほとんど存在しないため、ボブキャットは輸入に頼らざるを得ない。
ボブキャットのジェイソン・メイベリー副顧問は、アメリカ通商代表部(U.S. Trade Representative’s office)に提出した文書において、ボブキャットは関税にかかる費用を相殺するため、値上げに踏み切らなければならないだろうと述べている。トランプ政権は、鉄とアルミニウムにも関税を課しているため、ボブキャットの原料費も増加している。
連邦準備制度理事会によると、米中貿易戦争の勃発を受け、企業が投資計画を見直す動きが見られている。委員会は6月に行われた会議の議事録で、設備の購入やアップグレードに関する計画を見送ったり、縮小したりした企業があると記している。
トランプ大統領が、中国からの輸入品5,550億ドルを対象に関税を引き上げた場合、消費者はその影響を避けることなどできないだろう。テレビや携帯電話といった製品も打撃を受けることになるのだ。
輸入洗濯機は、実際に関税の影響を受けている。今年1月、トランプ氏は洗濯機に限定して関税を発動しており、その影響により昨年1年間で8%超と大幅に値上がっている。アメリカの貿易業者は、米中にもう一度話し合うよう求めている。
全米製造業協会(National Association of Manufacturers)のジェイ・ティモンズ会長は、「関税措置をとれば報復に繋がり、それがさらなる関税の上乗せに繋がる可能性もある」と言う。「貿易戦争をしても誰の得にもならない」
By PAUL WISEMAN and JOSH BOAK, Associated Press
Translated by t.sato via Conyac