韓国の航空交通量が過去最高に 背景に4割増えた訪日観光客

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 世界で最も航空機が行き交う国はどこか。英調査会社のオフィシャル・エアライン・ガイド(OAG)によると昨年最も航空交通量が多かった路線は韓国の済州(チェジュ)島とソウル・金浦(ギンポ)市を結ぶ便で、約6万5000便となった。さらに韓国国土交通部は韓国路線を利用した運航量が過去最高の76万台だったと発表。韓国が“空の便の王”としてその存在感を高めていることが明らかとなったのだ。しかし一体なぜ韓国で航空交通量が急増しているのだろうか。そこには過去最高を更新する訪日外国人観光客の増加と関係があるようだ。

◆運航頻度は5分に1便!?
 約450キロメートルある「済州−金浦国際空港」の航空便数は、年間6万4991便を記録して世界で一番忙しい路線となった。済州島は人気リゾート地として韓国国外でも知られ、毎年多くの外国人観光客が訪れる。首都ソウルから約1時間の距離という手軽さも人気の理由のひとつだ。特に朝方は5分間隔で運航しているため東京都心の電車感覚で利用することができる。世界一の国内航空交通量としては納得の運航数だ。

                                                                                                                 

 なお、世界2位はオーストラリアのメルボルンとシドニーを結ぶ路線で5万4519便、3位はインドの「ムンバイ–デリー」で4万7462便となる。日本からは4位に「福岡–東京羽田」(4万2835便)と6位に「札幌–東京羽田」(3万8389便)が入った。このほかトップ10までの順位は次のとおり。

 5位ブラジル「リオデジャネイロ–サンパウロ」(3万9325便)、7位米国「ロサンゼルス–サンフランシスコ」(3万4897便)、8位オーストラリア「ブリスベン–シドニー」(3万3765便)、9位南アフリカ「ケープタウン–ヨハネスブルグ」(3万1914便)、10位中国「北京–上海」(3万29便)。

◆THAAD問題で急転、中国から日本へ
 世界一となった「済州−ソウル・金浦」便が象徴しているように、2017年の韓国全体の航空交通量は過去最高を記録した。朝鮮日報によれば、韓国の航空路を利用した航空機数は前年比3.3%増加となる76万3729台に達した。1日平均2000台以上の航空機が韓国の空を飛び交っていた計算になる。ハブ空港として知られる仁川(インチョン)国際空港などの国際運航区間を利用した航空機数も前年比4.5%増となる46万8473台を記録したのだ。

 航空交通量が急増した理由について国土交通部の関係者は「特に日本とアジア向けが増加したことが大きい」(同紙)と語る。また、「(THAAD問題の影響で)中国の観光客が減少して中国に向かう路線も減少した。THAAD報復措置の余波が影響している」と報じられた。昨年、最新鋭の防衛ミサイルシステムの配備問題をめぐり中国と韓国の関係が悪化。中国は韓国への団体旅行禁止などの報復措置をとっていた。その結果、中国からの観光客数が激減し、韓国の観光収支は過去最高の赤字となった。

 その一方で訪日外客数は過去最高を記録した。特に韓国人観光客が伸び率40%とアジア最大の増加となった。韓国人の8人に1人が日本を訪れたことになる。中韓両国は互いに避けるようになり、その代わりの旅行先として日本を選んだのだ。まさに漁夫の利を得た格好となっていた訪日ブーム。中韓関係が改善しない限り、この状況はしばらく続きそうだ。

※本文中「約4万5000キロメートルある「済州−金浦国際空港」」は「約450キロメートルある……」の誤りでした。お詫びして訂正いたします。本文は訂正済みです。(3/6)

Text by 古久澤直樹

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