企業の7割「2018年事業拡大」予想も、雇用と昇給には慎重姿勢 調査結果

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 人材紹介会社ヘイズによる「アジア給与ガイド 2018年版」の調査結果によると、日本でビジネスを展開している企業各社は景況感の改善に自信を示す一方で、雇用拡大と昇給に関しては依然として慎重な姿勢をとっているという。
 
 回答企業の70%が「2018年には事業活動が拡大すると予想」しており、また65%が「過去12か月間で事業活動が拡大した」と考えている。2018年の日本経済に関しても楽観的な見方が強まっており、回答企業の25%が「2018年には景気が一段と上向く」と予想している。この割合は昨年を7%上回っており、日本経済を取り巻く環境において、景気拡大に向けた全ての主要な成長エンジンの方向が整ったという楽観論の高まりを表していると分析している。

 一方、こうした明るい見通しにもかかわらず、企業各社は雇用に関して今も慎重な姿勢を崩しておらず、採用への意欲を示した企業は、2017年の48%に対して2018年は40%にとどまりまった。また、2018年は昇給も小幅に留まるとみられ、3%以下の昇給を計画している企業が60%であった。これは、2017年に実際に3%以下の昇給を行った企業の割合を1%上回っている。一方、「今後1年間で3~6%の昇給を計画している」と答えた企業は18%だった。

 この調査結果について、ヘイズ・ジャパンのマネージング・ディレクター、マーク・ブラジ氏は以下のように述べた。

「日本の景気見通しは非常に明るいものの、企業各社は2018年、こうした状況を最大限に活用しつつ、正社員の採用と給与に関して保守的なアプローチを取ろうとしていることがうかがえます。求職者にとって、これはやや難しい状況といえます。就業中の人々が得られる昇給は小幅に留まる見通しであり、一方で転職を考えている人々は昇給を実現できる可能性が高まったものの、求人数はこれまでより減少する可能性が高いためです」

 日本の多くの企業が頭を悩ませているのは国内の人材不足が今も続いていることであり、この問題はアジア地域全体に共通している。人材不足が(間違いなく、またはある程度)事業の効果的な運営の妨げとなると答えた雇用主の割合は97%と昨年を1%上回った。

◆スキルが最も不足している領域
 日本における回答企業が挙げた「採用が最も困難なポジション上位5種」は以下の通り。

・セールス 中間管理職 (回答企業の33%)
・経理・財務 中間管理職 (同23%)
・マーケティング 中間管理職 (同23%)
・セールス 新入社員から中間管理職まで (同23%)
・エンジニアリング 新入社員から中間管理職まで (同21%)

Text by 酒田 宗一