「中国国営企業を止めなければ」日米欧の中国包囲網、主導した米の不満とは

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 日本、アメリカ、EUは12日、世界貿易機関(WTO)閣僚会議が行われているアルゼンチンのブエノスアイレスで、中国を念頭に、国有企業の優遇や鉄鋼などの過剰生産、外国企業への技術移転の強要といった自由貿易を脅かす行為に対し、連携して対応していくとする共同声明を発表した。将来的な規制の強化とともに、実際に行われている行為についてWTOへ共同で提訴することも視野に入れているという。米識者らは、この動きを概ね好意的に評価しているようだ。

◆中国国有企業が自由貿易市場を歪めている
 問題視されているのは、事実上国家予算ベースで行われている国有企業による市場の独占、過剰生産といった自由貿易市場を歪める政策だ。例えば、中国は国が鉄鋼業の振興を決め、関連企業の国有化を進めて優先的に補助金を投じている。これが過剰生産を招いて供給過多となり、国際市場価格の下落を招いた。こうした一党独裁国家による市場介入が自由貿易市場を疲弊させているという批判がアメリカを中心に挙がり、共同声明発表に結びついた。

                                                                                                                 

 米通商代表部のライトハイザー代表は、11日のWTO会議の演説で、「世界で最も豊かな国々が『途上国』を自称し、例外措置の恩恵を受けている」と、中国を念頭に批判。現在のWTO体制では、中国の抜け駆けを阻止することは困難だとして、WTO宣言への署名を待たずに13日の閉会前に帰国することを決めたと報じられている。

 日本は、世耕弘成経済産業相が同じWTOの演説で、通信分野で途上国に大規模支援を実施すると表明するなど、EUと共にトランプ政権の強硬路線とは一線を画している。とはいえ、大筋では米国主導の中国包囲網に参加した形だ。共同声明の内容を事前に報じた英フィナンシャル・タイムズ紙は、保護貿易主義的傾向を示すトランプ政権にしては、「珍しい形の国際経済協力体制だ」としている。

Text by 内村 浩介

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