フリーランスが増える米国、20年には労働人口の半分とも 一方日本の現状は?

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 クラウドソーシングは日本でも定着してきた。ネットを介してあらゆるジャンルのフリーランサーに仕事を発注できる仕組みだ。その世界最大規模を誇る米国のUpworkは、サンプリング調査した6,000人の回答結果から、2016年のアメリカのフリーランサーは5,500万人で全労働者の35%に上ると推計した。

 一方、日本はというと、クラウドソーシング・サービスを提供するランサーズの調査(「フリーランス実態調査2016年版」)によると、フリーランサー人口は1,064万人で、労働力人口の16%に当たる。しかしその約4割(416万人)が会社勤務をしながらの副業組だ。フリーランサーという言葉は魅惑的だが、その実態はどうなのだろうか。

◆アメリカメディアの報じ方
 企業のリストラなどで「フリーにならざるを得なかったのかどうか」が気になるところだが、「自らフリーランサーの道を選んだ」人の比率は2014年が53%(前述Upwork調査)、それが2016年には63%に上昇した。副業組のフリーランサーは「定期以外の収入を得るため」が目的だが、フルタイムのフリーランサーは「自分が仕事のボスになるため」という回答になり、79%がこれまでの職業形態より幸福であるとしている。一般的な労働者の週平均労働時間は40時間なのに対し、フルタイムのフリーランサーの平均は36時間。「彼らは週4時間を自分のために使っている」と、フリーランサーユニオンの創設者がフォーブス誌のインタビューに答えている。

 しかし仕事の安定度について懸念する回答も多い。仕事が安定していれば、パートタイムからフルタイムのフリーランサーへの移行率も高まるだろう。これは発注側である企業の考え方も大きい。

◆求められる支援
 フリーランサーが増えた背景として、ICTなどの活用で個人の活動の制約が少なくなったことが大きいとフォーブス誌では見ている。さらにウーバーのような企業がフリーランスに仕事を提供し、Upworkのような会社が仲介をすればフリーランサーの活躍の場は増えていくことになる。しかし仕事の安定確保や、傷病時の対策、資金などの面で、社会的な保障が求められているのも事実。2020年までに労働人口の半分がフリーランスになるという予測があるが、そうなった場合、彼らの求めに応じる政策が指示されることになり、政治にも影響していくとの見方もされている(同誌)。

◆フリーランスという働き方は理想?
 では日本でも、今後フリーランサーが増えていくのだろうか。「日本人は最も“起業したいとは思わない” — 世界33カ国での労働意識調査」でもお伝えしたとおり、18~65歳の週24時間以上の勤務者を対象にした調査によると、世界33ヶ国の中で日本は起業に対する意識が極めて低い結果となっている。

 リクルートワークス研究所が、日本のフリーランサーの実情について調べた結果がその背景を物語っているかもしれない。同研究所が2015年春に実施した調査結果によると、フリーランサー(農林漁業者以外で店舗を持たない個人事業主と定義)の平均年収は330万円。生計を立てられる程度の収入のあるフリーランサーは25%にとどまり、生活が逼迫するレベルの人は40%ほどと見ている。残りの35%は副業タイプなので、本業以下の収入となるだろう。この原因として「取引先が少ない」「交渉力がなく単価の低い仕事を請けざるを得ない」などが挙げられている。しかし満足感とまではいかないが、ライフスタイルに合っているなど仕事へのフィット感は持っているようだ。

◆発注者(企業等)の方針が左右
 アメリカでも日本でも、フリーランサーの利用は社内で行うコスト削減のために、社外の力を借りるというのが基本だろう。社内に非正規社員を増やすのと理屈は同じだ。しかし職種によっては、優れた能力を持つ人材がいるはずである。例えば、外科手術の際に麻酔を処方する麻酔科医は、どこの病院にも属さずフリーランサーとして働く人もいるという。手術数の増減に合わせ、フリーランサーの手を借りたほうが効率的で、腕がよければ安全にもつながるわけだ。

 外部企業への発注、ましてやフリーランサーともなれば発注者側は補佐的な仕事と考えるのが一般的だろう。仕事の実力に頼るというよりも手助けとしての利用になる。しかしフリーも含めてより優秀な人材の力を借りることで、短期間に競争力を得ることもできるはずだ。そのような需要があり、優秀なフリーランサーが育つことで、本物のフリーランサー経済が成り立つのではないだろうか。

 慣れない仕事に時間を浪費するより、外部の手を借りたほうが「働き方改革」や「労働生産性の向上」にもつながる。それに応えられるフリーランサーの登場が待たれるところだが、その実力を養えるかどうかは、勤めている企業での働き方しだいでもあるのだ。

Text by 沢 葦夫