ワインの世界市場:中国が新たな世界秩序の台頭をけん引
◆価格では引き続きフランスがリード
フランスのワイン産業を見ると、その様相は変容しているものの、基盤はしっかりと残っている。現在もなお、フランスはスペインやイタリアと生産量世界一位の座を争っている。また、価格面でいうと、今も変わらず世界をリードする存在だ。
2016年、イタリアのワイン生産量が5090万ヘクトリットルだったのに対し、フランスは4350万ヘクトリットルにとどまった。しかし、フランスのワイン輸出額は82億ユーロ(約1兆181億円)で、イタリアの26億ユーロ(約3227億6400万円)を3倍以上引き離し、世界のワイン市場総取引額の28.5%を占めている。
この数値を見ると、フランスのワインが付加価値の高い製品として認識、消費されていることがわかる。同様に、フランスが今も自国のワインの価値を存分に活かすことに秀でていることが見て取れる。スペインも輸出量ベースで見れば最大手輸出国と言えるが、国際市場における単位当たりの価格はいまだに低く、総額でも26億ユーロだ。
すぐに頭に浮かぶのは、他とは一味違う卓越したスパークリングワインとして名高いシャンパン、ボルドーやブルゴーニュ、最近のものではプロヴァンスロゼだ。
また、フランスのワインほど多くの国に輸出されるワインは他にない。輸入を始めたばかりの業者は、他の生産国よりまず初めに、フランスのワインを「リスティング」するところから始めるのが一般的だ。このことからもフランスのワイン産業がいかにイメージ、品質、多様性の点で世界中のワイン愛好家に浸透しているかがわかる。
◆戦略的に考える
今後数年間、ワイン生産国が引き続き国内外のマーケットシェアを維持、拡大する中で、進行中の気候変動にも適応していく必要がある。
たとえば、2016年のブラジルのワイン生産高は強力なエルニーニョ現象によって前年の2015年から55%減少し、干ばつに見舞われた南アフリカ共和国でも同様だった。これに対処するために、専門的なリサーチスクールをはじめとする戦略的なアプローチ開発が進められている。
世界中のすべてのレベルで、業界の競争力を高め、新たな国際的課題に取り組むために、出資者が出資者と政府や政策決定者が力を合わせている。
(今年度のVinexpo ワイン&スピリッツのトレードショーは2017年6月18日から21日にフランスのボルドーで開催予定。)
This article was originally published on The Conversation. Read the original article.
Translated by isshi via Conyac
eye catch photo by Wead / Shutterstock.com
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