日本経済、外需頼みも…アジア・豪州の厳しい状況明らかに 日経PMI

 日経新聞社が発表した日本の日経PMI(製造業購買担当者景気指数)の6月の値が、50.1となった。50を上回ると好景気を示すとされているが、ロイターやニューヨーク拠点の経済ニュースサイト『RTTNews』などは、製造業の伸びが思ったほど良くないのでは、との見方を示した。

◆好調な輸出、厳しい国内需要
 PMIとは、景気の先行きを示す指標の1つで、”Purchasing Manager’s Index”の略。製造業やサービス業の購買担当者に、生産高や受注量、雇用状況、価格などについてアンケート調査や聞き取りを行い算出されている。一般的に、50が景況感の分岐点とされ、50を上回れば景気拡大、下回ると景気縮小を示すとされている。世界各国で用いられ、景気動向を見極める上で重要な指標となっている

 日経新聞社は、イギリスの金融情報・調査会社マークイット社と提携し、香港、インド、シンガポール、マレーシアなどのアジア13ヶ国・地域の指標を「日経PMI」として7月1日から発表することとなった。

 1日に発表された6月の日本の数値は5月から0.8ポイント低下し50.1。輸出の受注量は先月の50.6から54.0にと、円安を受けて2013年12月以来の上昇を示したものの、国内の受注は前月の50.9から49.6に減少した。生産高も5月の51.9から50.9へと下落している。

◆海外からの受注頼み
 この結果を受けて、ロイターやRTTNewsは厳しい見方を示した。ロイターは経済専門家の予測を伝えて、製造業が依然高い水準にある在庫を減らすために生産を抑えるため、4月から6月の第1四半期は経済成長がかなり鈍化するだろうとしている。今期の経済縮小のリスクも否めないとの意見も伝えた。

 RTTNewsは、マークイットのエコノミスト、エイミー・ブラウンビル氏の発言を引用し、日本の製造業で生産が落ちており、設備投資の減少や厳しい経済状況が全体的な受注量の縮小を招いている、としている。また、円安によるコスト高での不安要素を挙げている。

 一方でRTTNewsは、雇用についてはわずかながらも3ヶ月連続で拡大の数値を示しており、輸出の受注も1年半ぶりの上昇を見せたことから、明るい側面もあることを指摘している。

 海外からの受注に関しては、特に中国やヨーロッパでの需要が増していることが指標の伸びにつながったようだ。

◆アジア・オーストラリアも厳しい様相
 オーストラリア版ビシネス・インサイダー(BI)はアジア各国のPMI指標を見渡し、アジア全体の経済状況がかなり厳しい状態であることを伝えている。

 中国については、国家統計局が発表した中国製造業PMIは50.2と先月から横ばい。中小企業の動向を示す英大手金融機関発表のHSBC/マークイットPMIでは、景気後退を示す49.4であった。

 韓国も47.8から46.1に減少、台湾はさらに49.3から、2012年9月以来最低となる46.3へ下落。ベトナムも他国に比べれば活発であるものの、54.8から52.2への下落となった。

 そして最も厳しい状況を示すPMI結果となったのがオーストラリアだ。数年前まで天然資源ブームにより空前の好景気に沸いていた頃が嘘のように、5月の52.3から44.2へと急落。IBは、このトレンドを引っくり返すには経済大国アメリカや中国、ユーロ圏、日本の景気加速が必須としているが、先行きは非常に不透明のようだ。

※本文中「オーストリア」は「オーストラリア」の誤りでした。お詫びして訂正いたします。本文は訂正済みです。(7/3)

Text by 阿津坂光子