日本、イスラエルと研究開発協力へ 「歴史的合意」と現地メディア評価 日本紙と温度差

 日本とイスラエルは6日、産業R&D協力に関する覚書を締結した。茂木経済産業大臣がイスラエルを訪問し、ベネット経済大臣と覚書を締結した。

 R&Dとは、Research and Developmentの略で、企業や研究機関などにおける「研究開発」のことである。今回の覚書では、日本とイスラエルの企業が共同研究を促進するためのプロジェクトや資金に関する規定を行った。

【締結に至った経緯】
 茂木大臣の訪問は、イスラエルのネタニヤフ首相の招待により実現した。5月に同首相が訪日した際、茂木大臣に直接話をしたという。

 訪日中、ネタニヤフ首相は日本とイスラエルの経済的な結び付きの重要性を強調した。また、イスラエルとビジネスにおける協力関係を築くことは、アラブ諸国から反発を招くのではないかという日本側の懸念を払拭する努力を行った。その結果、産業R&D分野で協力することを検討していくという内容で合意に至った。6月にイスラエルで、日本の経済産業省とイスラエルの経済省間で局長級対話を行うなどの調整を進めていた。その結果、今回の締結となったのである。

【イスラエル系メディアは歓迎ムード】
 イスラエル系のメディアでは、イスラエルが日本にとって初の産業R&D協力国となったことを、「歴史的合意」などという言葉を使って報道している。「この合意は、画期的なことである。合意により、共同戦略、改革、また、イスラエルの企業が日本市場に参入するための素晴らしい基礎ができあがった」というベネット経済大臣のコメントも多くのメディアで引用されている。

 さらに、この数ヶ月の間に経団連の代表がイスラエルを訪問したことや、昨年、日本で開催されたイスラエル経済省協賛のイベントに、6000人以上のビジネス関係者が参加していることを報じ、日本がイスラエルとのビジネスに興味をもっていると論じている。世界第3位のGDPを誇る日本との協力体制に対し、大きな期待が伺える。

 一方、日本の主要メディアは、本件を大きく取り上げていない。日本側が署名に至った背景には、日本の弱点といわれるサイバーセキュリティー分野で、イスラエルの高い技術を取り込みたいという思惑があった、と共同通信は報じている。

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Text by NewSphere 編集部