日本の小売販売額、落ち込みは予想以上 消費増税の影響は一時的? 海外メディアは注視

 29日、経済産業省は4月の商業販売統計速報値を発表した。

 これによると、4月の小売業販売額(全店ベース)は前年比4.4%減の11兆110億円で、東日本大震災が起きた2011年3月の8.0%減に次ぐ大幅減少となった。季節調整値の前月比は13.7%減となり、統計がさかのぼれる2002年以降で最大の落ち込みになった。

【増税の影響は予想以上】
 これは、4月の消費税率引き上げ前の駆け込み需要の反動であり、3月の6.4%増という数字も記録的なものだったとしつつ、海外メディアは一様に、今回の落ち込み規模は予想以上だったと報じている。

【前回1997年増税時との比較】
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙(以下、ウォール紙)は、前回1997年の3%から5%への消費税率引き上げの際の落ち込み幅は3.8%減であったとし、今回の方が大きいと述べる。

 アメリカのニュース専門局CNBCは、1997年の増税後、程なく景気後退が訪れたとし、今回もまた景気が後退するのではないかとの懸念が一部にあることを紹介しつつ、1997年の際はアジア通貨危機に巻き込まれたという事情があったというエコノミストの見方を伝えている。

【業種別の状況】
 ウォール紙は、販売額の落ち込みは幅広い業種で見られるとしつつ、自動車、テレビ、冷蔵庫、エアコンといった耐久消費財でそれが顕著であると述べる。それ以外では、デザイナーズブランド衣料のような高額品、シャンプーや化粧品のような半消費財、長期保存可能な食品・飲料の減少額が大きいという。

 フィナンシャル・タイムズ紙も、予想通り高額品で駆け込み重要の反動が大きかったとし、自動車小売業が10.2%減、機械器具小売業も12.3%減だったと報じている。

【業態別の状況】
 ウォール紙によれば、百貨店のマイナス幅は10.6%減と大幅なもので、東日本大震災が起きた2011年3月以来の大きさを記録した。スーパーは3.9%減だった。一方、コンビニエンスストアは4.2%増とプラスだったという。

【回復時期は】
 CNBCは、政府が景気の落ち込みを和らげるための公共事業を推進する一方、企業にも賃上げの動きがあり、数か月後には消費支出の増加につながるだろうと見る。

 ウォール紙は、データからすれば日本経済が増税のために著しく減速することはなく、第2四半期にはリバウンドするだろうという、野村証券の岡崎康平氏の言葉を紹介している。

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Text by NewSphere 編集部