TPPは“ミステリー” 海外紙は日米の懸念報道 安倍首相は交渉決着に自信

 ヨーロッパを訪問中の安倍首相は6日、OECD(経済開発協力機構)の閣僚理事会で講演し、日米はTPPの早期交渉決着に向け、さらに連携して交渉を加速させると述べた。TPPでアベノミクスに弾みをつけたい安倍政権だが、その方針に課題も多いことを海外メディアは指摘している。

【交渉決着も間近?】
 12ヶ国が参加し、世界経済の40%に及ぶTPPの交渉は、農業、自動車分野で日米が争ってきたため行き詰っていた。しかし先月から、日米両国が交渉の新段階にじわじわと進み始めた、とロイターは報じている。

 安倍首相は欧米との貿易協定が日本にとって重要だと説いている。TPPだけでなく、EUとのEPA(経済連携協定)にも積極的で、「小さな違いは乗り越えられる」とし、早期の締結を求めているという。

【アメリカでも問題視されるTPP】
 日本では、アベノミクス「第3の矢」の重要なカギとして捉えられているTPPだが、その全容がまだ明らかでないことは、アメリカのメディアでも話題にされている。

 グローバル・ポストは、「TPPはミステリー」と述べる。良くも悪くもTPPが与えるインパクトは計り知れないとしながらも、その機密性が問題だとしている。

 アメリカの市民は、TPPの内容を精読することはできず、議員たちですら交渉からは除外されている。米議会が承認するかを決める前に、協定内容をチェックする充分な時間があるのか、議員の間でも不満が出ているという。

 ある議員は、「アメリカではTPP交渉において金融と製薬企業が主導しているという噂がある。かれらはうまくたかるだろうね」と述べる。別の議員も、TPPが「国の主権を企業の利益のために明け渡す」と述べ、懸念を示している。

 さらに、自由貿易を謳うTPPが、知的財産権の規制を強化しようとしていることを懸念する声もあるという。

【アベノミクスへの疑念】
 連合の古賀信明会長は、CNBCのインタビューで、TPP等の自由貿易協定の必要性を肯定しつつも、アベノミクスへの懸念を語った。

 古賀氏は、アベノミクスは日本に「明るい光」を与え、「15年以上のデフレと景気低迷から脱出するときに来た」と述べる。アベノミクスが今後もポジティブに前進し続けることができるどうかがポイントだとした。

 特に、アベノミクスの構造改革の一角である、労働市場の規制緩和は、雇用の安定を奪うとし、改革に慎重な姿勢を示した。

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Text by NewSphere 編集部