カローラが1000万円!? シンガポールが生活費世界一に 昨年1位の東京は6位

 英誌『エコノミスト』の調査部門であるエコノミスト・インテリジェント・ユニット(EIU)が4日、生活費が高い世界の都市ランキングを発表した。この20年間ほぼ首位を独占していた東京は、シンガポールにその座を奪われた。昨年1位だった東京は、円安の影響などで、6位まで後退。メルボルン(オーストラリア)、ジュネーブ(スイス)、カラカス(ベネズエラ)の3国と並んだ。

 2位パリ(フランス)、3位オスロ(ノルウェー)、4位チューリヒ(スイス)、5位シドニー(オーストラリア)と続き、ここ数年の生活費ランキングでお馴染みの都市が並んでいる。

【調査の概要】
 この調査は年2回、世界97ヶ国131都市を対象に、食料品や衣料品、日用品、家賃、公共料金、交通費、学費、賃金など160種類の品目やサービスの価格を調査し、ニューヨークを100として、物価を指数化し比較しているもの。
 
 首位シンガポールは指数130であり、最下位(131位)のムンバイは39だった。

【 シンガポールが首位の背景には 】
 EIUによると、シンガポールは10年前には18位だったが、一昨年に9位にランクインし、今年ついに首位に踊り出た。背景には通貨高と物価上昇があげられる。

 シンガポールドルは、過去10年間、ほぼ一貫して上昇しており、最高値を更新しそうな勢いである。同様に物価も軒並み上昇しており、その中でも不動産の賃料が際立って高いという。

 フィナンシャル・タイムズ紙は、自動車を取り上げている。トヨタ・カローラが約1000万円と「天文学的な数字」となっており、こうした物価高がシンガポールを首位に押し上げた主な理由では、とエコノミストは指摘している。シンガポールでは、課税により車両自体が高くなる他、車を購入する際COE(新車購入権)を入手する必要があるという。COEは車の本体価格よりも高いこともあり、結果、他国より大幅に高い価格で販売されているようだ。
 
 またシンガポールは資源が少なく、エネルギーや水なども海外からの供給に依存しているため、水道光熱費が世界で3番目の高さになっている。さらに、衣料品は世界で最も高い。

【 シンガポールはバブルなのか? 】
 大半の海外メディアが生活費の高さに注目している中、フォーブス誌はシンガポールの「経済格差」を紹介している。ちょうど10年前はテーブルワインのボトルが13.25米ドルだったのに対し、今では25.65米ドルと約2倍近く高くなっている。不動産に至っては、国が補助金を出しているにもかかわらず、大半の市民は買えない、と現状を伝える。

 経済評論家のジェシー・コロンボ氏は、シンガポールの経済成長はバブル景気では、と警鐘を鳴らした。特に、超低金利がバブルを引き起こす“もと”でもあり、シンガポールもその例外ではないと述べている。

 これに対して、シンガポール金融管理庁は、経常収支の大幅な黒字等を理由に反論している。シンガポールにはまだ経済成長を維持する基盤があると分析するエコノミストもおり、意見が割れている。

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Text by NewSphere 編集部