日本のカジノはラスベガスを超える? 年間100億ドル試算に海外も注目

 内閣府は9日、7‐9月期の国内総生産(GDP)は前期比年率1.1%増だったと発表した。11月に発表した速報では1.9%増であったが、下方修正した。

 GDPは、第1四半期年率4.5%、第2四半期3.6%とG7先進国(米・英・独・仏・伊・日・加)の中で最も大きな成長率となった。しかし、第3四半期は、個人消費が伸びを見せたものの、企業の投資や在庫の積み上げ見積りなどが低く、全体として低調となった。

 安倍晋三首相が2012年12月に就任し、アベノミクスを提唱後、円は下落し輸出が拡大した。また株価も急上昇した。しかしその後、市場の動きは今年半ばから鈍くなっている。

【安倍政権の支持率低下、経済政策に重点移行】
 NHKの調査では、安倍政権への支持は前回の調査に比べ10%減の50%、共同通信の調査では、10.3%減の47.6%となった。これは、特定秘密保護法案への不安が影響したとみられる。支持率回復を図るため、これから安倍首相は経済政策に重点を移すことになるだろう、とウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じている。

 同紙によると、日本大学の岩井奉信教授(政治学)は、「安倍首相は、これ以上支持率を下げるわけにはいかない。もしそうなれば、与党内で不満が高まり首相の指導力が損なわれるからだ」と指摘したという。同氏は、「有権者は、安倍首相の国の防衛政策を不安に思っているが、経済政策にはいまだ期待している」と述べ、安倍首相には支持率が「危険なレベル」に至る前に回避する余裕がまだあるとの見方を示した。

 さらに、上智大学の中野晃一教授(政治学)は、「特定秘密保護法案に審議が集中し、アベノミクス政策がおろそかになっているように感じられる」と述べたという。同氏は、「安倍首相の保守政策が政権に与える危険性を理解しなければいけない」、「首相の目指す保守的国家という目標に向かうのか、それとも人気を再燃させるため経済政策に焦点を合わせるのかは、(首相にとって)難しい判断だ」としている。

【経済の起爆剤としてのカジノ構想】
 一方、自民党、日本維新の会、生活の党の3党は5日、カジノを中心とした統合型リゾート(IR)の整備を政府に促す推進法案を衆院に提出した。来年の通常国会で成立する見込みだ。安倍首相もこの法案を支持している、と経済専門チャンネルCNBCは報じている。法案成立により、東京オリンピックが開催される2020年には、カジノ事業を始めることが期待されているという。

 競馬、競艇、パチンコ、スロットは既に合法のギャンブルだ。CNBCの番組に出演した自民党の牧原秀樹氏は、「一般的に、日本人はギャンブル好きだ」と述べるとともに、「2020年の東京オリンピックには、多くの旅行客が日本を訪れ、ギャンブル産業は多くの収益を上げるだろう」と法案成立に期待を示した。

 米トリロジー・キャピタルによる2012年の発表では、日本のギャンブル業界の総収益は、ざっと年間2430億ドルにものぼる。

 またCNBCによると、サンライズ・キャピタル(CLSA)は、東京・大阪2都市でカジノリゾートを運営した場合、年間収入は100億ドルに達すると試算したという。これはマカオの380億ドルには及ばないものの、ラスベガスの62億ドル、シンガポールの59億ドルを大きく上回る。カジノ解禁で、経済成長を促進することができるのではという期待が高まっているようだ。

Text by NewSphere 編集部