黒田総裁は楽観しすぎ? 日銀の経済予測に海外紙から疑問

 日銀は31日、半年ごとの経済・物価展望レポートを発表した。レポートは来年度1.5%の経済成長を見込んでおり、4月の予測1.3%よりも上方修正されている。インフレ予測は1.3%となっており、2015年度中に予定通り2%のインフレ目標を達成できるペースだという。

 しかし民間エコノミストの平均予想は経済0.7%・インフレ0.8%。各紙は、日銀の楽観的すぎる予測に懐疑的だ。

【日銀内にも慎重な見方】
 日銀の黒田総裁は、前任の白川総裁と真逆の緩和路線を敷いているにも関わらず、政策委員会はこれまで黒田総裁の政策を全会一致で支持し続けているため、黒田総裁はよく統制できていると各紙は指摘する。しかし今回のレポートには、9委員中3人が反対票を投じていた。

 黒田総裁によると、白井さゆり委員は、経済の下振れリスクをもっと強調して書くべきだと主張した。民間出身であり4月の前回レポートにも反対している木内登英・佐藤健裕両委員は、インフレ予測が楽観的過ぎると主張した。ただしフィナンシャル・タイムズ紙によると、追加緩和策を要求する白井委員に対し、木内・佐藤両委員は「コストがかかりすぎる」として反対しており、一枚岩というわけではないようだ。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、そうした下振れリスクとしては、来年4月の消費税増税による消費減衰や、新興国経済の減速などが挙げられている。これら新興国市場は5月以降、米連邦準備制度(FRB)の緩和策の先行き不安から、大打撃を受けてきた。そのFRBは前日、またも国内経済情勢に照らして緩和縮小を見送っている。政策委員会だけではなく日銀関係者一般の間でも、そうした不安が拡大しつつあるようだ。

【実質賃金は下落】
 ニューヨーク・タイムズ紙は、中小企業や労働者の間で、アベノミクス期待が落胆に変わりつつあることを指摘している。日経平均株価は年初より40%ほども上がっているが、直近4ヶ月間の上げ幅はわずか3.4%に過ぎない。9月の労働者全体の総賃金は前年同期比0.1%増、夏のボーナスは0.3%増なのに対し、9月の消費者物価は0.7%増で、実質賃金としては下落しているのである。

 同紙は、アベノミクス「第3の矢」である構造改革の具体化が進んでいないことを批判し、これなくしては日本はデフレに逆戻りすると警告する。

Text by NewSphere 編集部