海外メディア「また銀行とヤクザ・ギャングの癒着問題か・・・」

 みずほ銀行の暴力団不正融資問題について、同行頭取であり、親会社みずほフィナンシャルグループ代表でもある佐藤康博氏は8日、2010年7月時点で当時の西堀利(にしぼり・さとる)元頭取は問題を把握していたと発表した。

 同行は当初、コンプライアンス担当副社長らのレベルで報告は止まっていたと述べていたが、それが覆される形となった。金融庁は「極めて遺憾」と評し、同行の内部調査、および中込秀樹・元名古屋高裁長官率いる外部委員会の調査結果を待って「適切に行動をとる」と述べた。

【義援金システムダウン事件の西堀頭取】
 不正融資は大半が自動車ローンの形であり、現在はみずほグループ傘下である信販会社オリエントコーポレーション(オリコ)を通じて、2年以上の間に230件、総額約2億円が融資された。各紙は、2007年に東京三菱UFJ銀行がやはり暴力団との長年の取引について処分されていることも指摘し、「ヤクザ・ギャングと日本の金融業界の癒着」が改めて強調されたなどと評している。

 2010年7月当時、問題の融資に関する情報がみずほ銀行内で回覧されており、さらに佐藤氏は西堀氏への聴取で事実を確認したという。翌年3月、東日本大震災の義援金振り込み殺到に伴うシステムダウン事件が発生、みずほ銀行とグループは金融庁から業務改善命令を受けた。この責任により西堀頭取は6月に退任したが、その後はみずほグループの非常勤顧問となっている。各紙は、みずほが接触を拒んだことにより、西堀氏からのコメントは取れなかったと報じている。

 また佐藤氏も、2011年7月の取締役会で資料が配布された際、この問題を知ることのできる立場にあったと認めた。しかし当時その件についての議論はなく、今年3月に金融庁が動くまで問題を自覚していなかったと佐藤氏は主張している。

【パワーバランスが関心事のみずほ】
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、みずほは2002年に第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行の合併で誕生して以来、前述の義援金ダウンの件を含めたシステム障害など、ずさんな管理で批判を浴び続けてきたと解説した。「みずほは前身3銀行の幹部間の権力バランスにばかり注意を払い過ぎている」とされ、佐藤氏は就任後、それら前身3銀行の文化統合を図ってきたはずだったという。

 みずほは、10月28日までに金融庁に業務改善計画を提出する命令を受けている。佐藤氏は、自身の責任については調査結果を待って決断すると述べたが、当面ひとまず問題への対処に集中するため、政府の産業競争力会議など公的職務をすべて辞任するという。

Text by NewSphere 編集部