日本のGDP回復を海外紙が分析 評価と課題は?

 内閣府は16日、今年第1四半期の日本のGDPが、前期比0.9%増(年率3.5%増)と発表した。予想以上の急回復に、各紙は、アベノミクスの効果が金融市場だけでなく、実体経済にも表れ始めたと報じた。
 なお市場はあまり発表の影響を受けず、日経225平均株価終値は1万5037円で0.4%下げ、円は1ドル102円余りで変わらなかった。日本国債は前日の日銀介入を受けて上がり、10年国債の利回りは0.83%に下がった。

【GDP増加の理由】
 GDPを押し上げたのは、円安による輸出の好調や、特に娯楽・自動車・外食を中心とする個人消費の拡大だと報じられている。
 一方、企業の設備投資は0.7%減(5四半期連続減)、3月の名目賃金も前年比0.6%減(2ヶ月連続減)だった。物価指標のGDPデフレーターもマイナス1.2%で、14四半期連続のマイナスであった。
 通常、輸出増がまず設備投資や賃金の増加につながり、それから消費増につながるため、このような先行現象は異例とされる。
 また円安傾向が続けば、いずれ燃料や食料などの家計負担増も懸念される。
 フィナンシャル・タイムズ紙は、企業の仕入れ増が伴わなければ持続的回復は立ち消えると警告。ウォール・ストリート・ジャーナル紙も、「転機と呼ぶには時期尚早である。過去20年間、数多くの偽スタートがあった」と釘を刺す。
 多くのエコノミストは、この勢いが続くかどうかはアベノミクスの「3本目の矢」、構造改革次第だとみている。

【一方、欧州は?】
 ニューヨーク・タイムズ紙は、6四半期連続のマイナス成長が報告されたばかりのヨーロッパも、日本の緩和政策を見習うべきだと主張。
 特に、経済政策に保守的なドイツが邪魔をしているとの論調だ。日本は効果的な景気刺激策を見つけたが、ドイツは、その実施を阻んでいると批判的に報じている。

Text by NewSphere 編集部