G7閉幕 浮き彫りになった各国のジレンマとは?

 11日、ロンドン近郊で前日から開かれていた、G7(日・米・英・仏・独・伊・加)財務相・中央銀行総裁会議が終了した。
 海外各紙は、日銀の緩和策や欧州の緊縮策をめぐる各国の姿勢に着目して報じている。

【日銀緩和策に、各国から理解】
 会議の焦点の1つは、日銀の緩和策に伴う円安である。9日には、4年ぶりに1ドルが100円を超えたばかりであった。
 日本の麻生財務相や黒田日銀総裁によると、G7諸国は、日銀の大胆な金融緩和策が、「デフレ克服のためで、円安誘導目的ではない」ことへの理解を示したという。議長国イギリスのオズボーン財務相も、「意図的な通貨下げをしない」という従来の合意が、会議で再確認されたと述べた。また、各国が日本の政策に「感動し興味を持った」とも語ったという。
 各紙は、G7が円安を容認した、と報じた。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、日本も含めた各国が、意図的な為替誘導を行わないよう、監視が必要なことに言及。この点について、ルー米財務長官やフラハティ加財務相が、一定の懸念を持っていると伝えた。
 また、途上国の間には、先進諸国の意図的な通貨切り下げを懸念する声があることも報じている。

【欧州諸国のジレンマ】
 ユーロ圏諸国はここ数年、厳しい緊縮政策に取り組んでいる。
 しかし、長引く緊縮政策は、経済成長を阻害するという懸念が出ている。そのため、短期的には緩和政策の余地もあるべきであり、また「健闘している国」が需要を拡大させ、他国の輸出を助けるべきだ、という議論があったようだ。
 各紙は、「健闘している国」とは明らかにドイツのことだと報じた。しかしドイツの関係者は、上記の議論は合意に至っていないと述べた。

 またショイブレ独財務相は、インフレ懸念を理由に、緩和政策に否定的であると伝えられている。ただしニューヨーク・タイムズ紙は、ショイブレ財務相が、フランスとスペインの財政赤字削減にもっと時間を与えることを支持するなど、「いくらか柔軟性も示した」と伝えた。

【銀行改革にも言及】
 他に各紙は、税逃れ問題や銀行改革の件が会議で挙げられたと報じた。
 オズボーン財務相は、「大きすぎて潰せない銀行などないことを保証するという、我々の仕事を迅速に完了することが重要」だとして、大手銀行の閉鎖を可能とするような決議体制の開発に力を入れていると述べた。

 さらにオズボーン財務相は、G7の一致を強調するとともに、来月のG8サミットは「税逃れ問題」が中心になるだろうと述べた。

Text by NewSphere 編集部