日銀、金融緩和強化 海外紙の好評価の内容は?

日銀、金融緩和強化 海外紙の好評価の内容は? 日銀は4日、黒田東彦新総裁就任後初の金融政策決定会合で、白川方明前総裁時の緩和策を大幅に変更する「 量的・質的金融緩和 」を決定した。
 特に、政策目標を金利からマネタリーベースの量に変更したことに対しては、国内外から「衝撃的」との声があがっている。2%の物価上昇率目標を2年程度で達成するための緩和策として、資金供給量を14年末までに約2倍の270兆円に拡大、長期国債の購入量を2年で2倍の190兆円へ増加、国債の買い入れを、40年債も含む全ゾーンを対象として平均残存年限を3年弱から7年程度に延長、国債の購入枠を長期と通常のものを一本化してバランスシートに明記することなどが挙げられた。積極的に資金供給量を拡大し、期待インフレ率の引き上げを通じてデフレ脱却を実現する意向だ。
 海外各紙は、想定外の金融緩和政策に好感を示す市場からの反応を取り上げている。

【株高・円安進む】
 大胆な政策を受け、日経平均株価は大幅に続伸したとウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じている。東京株式市場では、日経平均終値が前日比272円34銭(2.20%)高の1万2634円54銭で、金融緩和の恩恵を受けやすいとされている不動産業や銀行業が特に伸びたようだ。
 また、東京外国為替市場では円が急落した。対ドルでは3月21日以来の安値となる95円49銭で2円以上の円安に振れ、対ユーロは25日以来の122円台となる122円14銭まで下がった。エコノミストらは、日銀が政策目標をマネタリーベースの量に変更したことが、市場への力強いメッセージとなっていると分析しているようだ。

【政策決定会合を乗り切り、新総裁の船出は順調】
 フィナンシャル・タイムズ紙は、今回の政策を「シンプルで大胆」と表現している。特に、長期と通常の国債購入枠が二本立てに分かれていた従来の方針は、不透明で緩和効果を発揮できていないとされていたが、一本化することでわかりやすい方針を提示することができると評した。
 また同紙は、黒田氏の最大の試練は、白川派のメンバーを多く含む政策決定会合でどれだけの支持を得られるかであり、反発も少なくないと予測されていたと指摘。しかし実際は、ほぼ全ての議案で、新執行部3人と審議委員6人の計9人の全員一致での合意となった(「量的・質的金融緩和」の継続に関してのみ、木内委員が反対)。
 業界からは、資産バブルが強まることや、2年という期間は不可能であるといった否定的な声も挙がってはいるが、黒田氏が短期間で多くの支持を獲得したことは高く評価されているようだ。

Text by NewSphere 編集部