日本・EUが経済連携協定開始で合意 海外紙が分析する日本とEUの狙いとは?
日本と欧州連合(EU)は25日、経済連携協定(EPA)交渉を4月に開始することで合意した。財政難に苦しむ日本とヨーロッパは、経済活性化を目指し、国際市場に活路を見いだそうとしているようだ。
【EUの狙い】
フィナンシャル・タイムズ紙は、日本との自由貿易でEUが得られるメリットを分析。医薬品、化学製品、飲食業界など幅広い分野にわたって最高42万の雇用を生み、EU全体で0.8%の経済成長を押し上げると予想する。イギリスの貿易投資担当大臣のグリーン卿は「この経済連携協定はアジアの重要な同盟国との関係強化だけでなく、より広い地域との経済連携を強める手助けになる。」旨発言した。また在欧日系ビジネス評議会の川口氏は「この合意が日欧の取引と投資の市場が拡大し、保護貿易主義を打倒できる」とコメントしている。
【日本の狙い】
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は日本側の視点で分析する。中国・韓国とのFTA交渉を開始するなど、日本が次々と貿易交渉を開始するのは、韓国に追いつくためと報じている。家電、自動車市場で韓国に対して不利な状況に置かれ、さらに巨額の公的債務によって財政が苦しくなっている日本には、貿易協定で欧州企業を引き寄せ、国内経済を活性化したいという狙いがあると同紙は分析する。専門家は、長期的な視野に立って欧州先進国との経済関係を強化することで、日本は構造改革を推進し、新興国での市場拡大を目指したいのではと分析している。
交渉では、日本はEUの関税(電子機械製品14%、自動車10%)を廃止することを望んでいる。エコノミック・タイムズ紙(印)は日本メーカーに着目し、トヨタ自動車は今回の自由貿易で大きな利益を得られる企業の一つであると報じた。BNPパリバ証券のエコノミストは、「EUとの自由貿易は輸出を増やすだけでなく、さらなる競争心を高め効果的な国内経済の発展につながる。」と発言し、日本の経済効果が上がると予想する。
しかし、日本にとってこれほど大規模な貿易交渉は初めてのため、さまざまな分野で障害が予想されるとも報じ、今後の政府の対応が重要になると同紙はみている。